海外情勢

景気刺激策2兆ドルは不十分 米上院で法案可決、追加策求める声

 米上院は25日、新型コロナウイルスが引き起こした経済・衛生上の危機に対処する2兆ドル(約220兆円)規模の歴史的な景気刺激法案を賛成96、反対0で可決した。しかし、エコノミストや地方自治体からは金額が不十分だとして、早くも追加対策を求める声が出ている。

 マコネル共和党上院院内総務が先週提出して以来、共和党と同法案の修正を求める民主党は緊密な協議を続けていた。

 同法案には、米経済が突然の活動停止を乗り切るのを助けるため大企業などに融資や減税、市民に直接給付を行う前例のない措置が盛り込まれた。

 民主党が過半数議席を握る下院は景気刺激法案の採決を27日に行う。トランプ大統領は議会に対して速やかに同法案を通過させるよう求め、下院が可決したら直ちに署名する意向を示した。

 同法案には、航空機メーカーなど大企業や州・地方自治体向けの融資・支援約5000億ドルに加え、中小企業向けの約3500億ドル、国民向け現金支給が盛り込まれた。

 ホワイトハウスのクドロー国家経済会議(NEC)委員長によると、同法案と連邦準備制度理事会(FRB)による金融面の対策を合わせると、景気刺激の規模は米国内総生産(GDP)の約30%に相当する6兆ドルに達する。

 しかし、一部エコノミストは失業率が30%に達する可能性があると警告しており、米経済への短期的な大打撃や失業率の急激な悪化を回避するのには不十分との見方が出ている。

 2008年のリセッション(景気後退)時にオバマ前政権で大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務めたジェーソン・ファーマン氏は「数週間以内に追加の刺激策が必要であり、指導者らはその策定に今すぐ着手すべきだ」と指摘した。

 法案には低・中所得層に大人1人当たり1200ドル、子供1人当たり500ドルを直接支給することが盛り込まれたが、現金支給が必要な国民の全員が支払いを受けられるわけではなく、年収が7万5000ドルを超える個人は対象外。

 実施のタイミングも課題として残っている。トランプ大統領は支援金小切手が4月6日までに発送されることを示唆したとされるが、過去のリセッション期ではこうした小切手の発送に約2カ月を要している。

 一方、法案では州と自治体向けの緊急資金として約2750億ドルを確保したが、全米知事協会会長を務めるホーガン・メリーランド州知事(共和)は25日、「われわれは次の刺激策で、州・地方政府の危機対応を支援するための追加予算を再び要求する」と述べた。

 米国の感染拡大の中心となっているニューヨーク州のクオモ知事は合意を不十分だと批判。ニュージャージー州のマーフィー知事は追加支援を必要とする公算が大きいと語った。(ブルームバーグ Steven Dennis、Mike Dorning)

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