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日本経済、「破綻」の瀬戸際 状況悪化に対応追い付かず

 新型コロナウイルスの感染拡大で中小企業の業績が急速に悪化し、資金繰りの支援要請が殺到している。政府はリーマン・ショックの際の枠組みを実質的に復活させ、倒産の急増を抑えるとともに、7日に緊急経済対策を閣議決定。コロナの経済への影響を少しでも和らげたい考えだが、状況の悪化に対応が追い付いていないのが実情だ。日本経済は瀬戸際に追い込まれている。

 円滑化法と同等支援

 「われわれはコロナウイルスの危機に直面している。全力で金融行政を展開する必要がある」。金融庁の遠藤俊英長官は1日の入庁式で約40人の新入職員を前に、強い危機感を表明した。

 リーマン・ショックで痛手を受けた企業支援のため、金融機関が融資の返済期限の延長や貸出金利の引き下げに応じるよう定めた中小企業金融円滑化法は、2009~13年の時限立法だったが、新型コロナの感染拡大を受けて先月、円滑化法とほぼ同等の支援を金融機関に要請した。支払いの集中する年度末を企業が乗り切れるよう、急遽(きゅうきょ)環境整備をするためだ。

 銀行が、経営状態の悪い企業の返済猶予などに応じるのは通常は困難だ。しかしコロナショックで資金繰りが悪化した企業を今支えなければ、倒産や失業者が急増し、日本経済が破綻しかねない。金融機関が返済期限延長や貸出金利の引き下げなどの融資条件変更に応じた件数は3月10~19日で約5800件。今後、増えるのは確実だ。

 世界の景気悪化のスピードは想定を上回る。米国では既に失業者が急増し、3月28日までの週間失業保険申請件数は664万8000件と前週から倍増、過去最多を記録し、申請件数は2週間で約1000万件に上った。

 日銀が今月1日発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)でも、中小企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は全産業でマイナス7となり、前回の昨年12月調査から8ポイント下がった。マイナスは3年9カ月ぶりで、3カ月先の景況感はマイナス23まで落ち込んだ。

 先週末も全国の都市部では百貨店や飲食店が臨時休業した。東京都では4日、感染者が初めて100人を超えるなど「感染爆発の重大局面が、より深刻になっている」(小池百合子知事)状況で、終息の気配は全く見えず、企業業績へのさらなる打撃は避けられない。

 返済猶予は、業績が悪化した企業を延命する効果が期待できるが、企業には借金の負担が重くのしかかる。実質無利子、無担保で融資を受けられる制度もあるが、事業者からは「返済のめどが立たず貸付制度は使えない」(さいたま市の経営者)と不満の声が上がる。

 中小継続に2兆円

 緊急経済対策では、収入が減った世帯への現金給付に加え、中小企業などに向けて給付金制度を創設する。個人事業主に最大100万円、中小企業に最大200万円を支給する方向で、約2兆円の予算を確保。返済の必要もなく「かつてない強大なパッケージ」(安倍晋三首相)で企業の事業継続を支える。

 一方、米国では3月中に過去最大規模となる2兆2000億ドル(約238兆円)の経済対策を成立させた。欧州でも休業店舗や失業者への手厚い支援策を次々と打ち出しており、日本は出遅れた印象が否めない。

 市場では「企業の経営環境は加速度的に悪化している。政府は政策総動員の構えだが感染拡大を抑えられるかどうかは不透明で、企業は瀬戸際だ」(大手証券のアナリスト)と悲愴(ひそう)感が高まっている。

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