国内

緊急経済対策 異例の対応も「追加」不可避 個人への支援不十分

 政府は7日、過去最大となる事業規模108兆円の緊急経済対策をまとめ、国内の雇用維持や企業の事業継続に全力を挙げる姿勢を鮮明にした。ただ、新型コロナウイルスの感染が収まらず営業自粛が長期化するなど状況が悪化すれば、解雇・雇い止めが急増する雇用危機も懸念される。企業に比べ個人への支援策が不十分との指摘もあり、追加対策の編成は既に不可避の状況だ。

 安倍晋三首相は7日の政府与党政策懇談会で、「甚大な影響のマグニチュードに見合った、力強い政策パッケージを取りまとめることができた」と強調した。

 今回の対策では個人に加え企業にも給付金を支給する異例の対応を取った。無利子融資を民間金融機関からも受けられるようにし、売上高が減少した企業への納税猶予も盛り込んだ。大規模な消費喚起キャンペーンで経済のV字回復を目指す。

 規模も財政支出39兆円は名目国内総生産(GDP)の7%、事業規模108兆円は2割に相当。「対策効果を求めるなら財政支出はGDP比で最低5%超」(嘉悦大の高橋洋一教授)という水準を上回った。

 ただ、突貫工事で作った緊急対策も状況の悪化には追い付かない。商店や中小企業では運転資金を1、2カ月分しか用意できていない自転車操業が多く、手持ち資金が底をつく資金ショートは時間の問題。手続きに時間がかかる無利子融資は民間金融機関でも受付を始めたが、どこまで迅速化できるか不透明だ。批判に応えて導入した企業給付金も、事業収入が5割以上減らなければ受給できない。

 新型コロナの影響で解雇・雇い止めに遭った人は、観光業などを中心に3月30日時点で1000人超に上る。営業自粛の長期化で企業が事業の継続を断念すれば、雇用調整助成金の効果も失われ、失業者が急増する。

 政府・与党は今回の緊急対策で2008年9月のリーマン・ショック時に編成した計4回の経済対策を念頭に置いた。当時の財政支出は総額32.2兆円、事業規模は138.2兆円。今回は規模で迫っているが内容は事業継続や経済活動の回復など企業向けが中心だ。

 政府内では家計への現金給付を「何回もする必要があるかもしれない」(西村康稔経済再生担当相)と個人向け支援の拡充を求める声もある。戦後最大級の不況が迫る中、日本経済の再浮揚には今回見送った消費税減税を含む常識にとらわれない次の一手が必要だ。(田辺裕晶)

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