国内

景気判断 全9地域で引き下げ 日銀3月さくらリポート 新型コロナ影響鮮明

 新型コロナウイルス感染拡大の影響が地方経済にも波及している。日本銀行は9日公表した3月の地域経済報告(さくらリポート)で、全国9地域すべての景気判断を引き下げた。全地域が引き下げとなるのは、リーマン・ショック翌年の2009年1月以来11年3カ月ぶりとなる。

 地域ごとの景気判断からは、前回1月まで入っていた「回復」「拡大」という表現がすべて消え、代わりに「弱い動き」や「下押し圧力が強い状態」という表現が並んだ。

 項目別では、個人消費が全地域で引き下げとなった。訪日外国人客が途絶えたほか、外出自粛要請により懇親会や外食が減ったことが足を引っ張った。生産と雇用・所得は5地域で、設備投資と住宅投資は2地域で引き下げとなった。

 担当者は「政府が緊急事態宣言を出したほか、欧米での感染も広がっている。状況は大きく変化していく可能性がある」と指摘、地域経済の先行きが一段と悪化する可能性に警戒感を示した。

 日銀は27、28日に金融政策決定会合を控えており、景気下支えのため、追加の金融緩和に踏み切るかどうかが焦点となる。

 黒田東彦(はるひこ)総裁は、9日朝の支店長会議で「新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば、躊躇(ちゅうちょ)なく追加的な金融緩和措置を講じる」と述べた。

 支店長会議は4半期ごとに東京・日本橋の本店で開くのが通例だが、今回は感染防止のため、初めてテレビ会議システムで実施した。

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【用語解説】さくらリポート

 日銀が3カ月ごとに開く支店長会議の後に公表する「地域経済報告」の通称。表紙が桜色であることから名付けた。全国を北海道から九州・沖縄までの9地域に分け、それぞれの景気判断を示す。企業からの聞き取り調査を基に生産や設備投資、個人消費などの動向を分析し、景気に関する企業の声も紹介する。金融政策の判断材料にもなる。

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