海外情勢

景気「底」みえず一進一退 米政府やFRB、未曽有の危機対処

 【ワシントン=塩原永久】新型コロナウイルスの悪影響を受け、米国の失業者が急増し続けている。トランプ米政権や連邦準備制度理事会(FRB)は、経済への打撃緩和や市場安定化に向けて、次々と新たな対応策を打ち出している。ただ、景気悪化の「底」の深さが見通せない中、未曽有の危機対処は一進一退の展開を迫られている。

 米労働省が9日発表した4日までの週の失業保険申請件数は660万6千件だった。リーマン・ショック後の2009年に記録した水準(約66万件)のほぼ10倍に達した。直近3週間で計1600万件を超え、雇用悪化は底なしの様相だ。

 失業保険の申請を受け付ける各地の事務所で長い列ができ、東部ニューヨーク州の労働局のサイトは、膨大な数の申請に処理が追い付かずダウンした。

 失業保険を給付したり、感染症対策に当たる州政府の財政は悪化している。

 FRBは9日、州や郡などが発行する地方債を買い取る仕組みを設けると発表した。企業の資金繰り支援も強化し、新たに最大2兆3千億ドル(約250兆円)を市場に供給する。

 FRBは市場の混乱の芽を摘み取る対策を矢継ぎ早に実施しており、パウエル議長は9日の講演で「経済が確実に回復軌道に乗るまで果敢に行う」と話した。

 米政権と与党・共和党は、約2兆2千億ドルの経済対策で、中小企業の資金繰り支援に3500億ドルを充てた。だが、企業から申請が殺到したため、さらに2500億ドル追加する方針を示していた。

 上院は9日、この中小支援の拡充法案について審議したが、支援対象を拡大すべきだとする野党・民主党の反対で、採決手続きに入れなかった。一刻を争う景気下支え策だが、根深い与野党対立で法案審議が遅れる恐れが出ている。

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