海外情勢

中国、成長率目標に見送り論 刺激策抑制に継続余地

 新型コロナウイルス感染拡大による中国経済への衝撃を踏まえ、国内の有力エコノミストや当局者は今年の経済成長率目標を大幅に引き下げるべきか、あるいは完全に断念すべきかと新型コロナ発生前では考えられなかった議論を交わしている。

 国内総生産(GDP)成長率目標は例年3月上旬に開幕する全国人民代表大会(全人代)で発表され、その年の経済政策の指針にもなる。今年の全人代は新型コロナの感染拡大に伴うロックダウン(都市封鎖)で延期され、まだ開催日程が明らかになっていない。

 中国の一部シンクタンクが主張するように、6%前後の成長率という野心的な目標を掲げれば、膨大な刺激策を講じることになりそうだ。民間エコノミストが見込んでいるように、より現実的な約3%成長に設定すれば、現行の対象を絞った支援策の継続を示唆することになる。

 一方、中国人民銀行(中央銀行)の貨幣政策委員を務める馬駿氏は、今年の経済成長目標の設定見送りを提言。そうすれば政策当局には金融リスクや債務の伸び抑制を引き続き追求する余地が生じる。馬氏は先月31日の経済日報で、6%前後の成長率目標は達成できない公算が非常に大きいと指摘した。

 ナットウェスト・マーケッツの劉培乾エコノミスト(シンガポール在勤)は「極めて高い目標を設定すると政策当局は身動きが取りにくくなったり、一部で経済データを偽る動きも出たりする恐れがある一方、柔軟な目標だと地方政府に過剰なゆとりが生まれる可能性もある」と話す。

 中国共産党は今年末までに2010年との比較でGDPと平均所得を2倍にすると公約してきた。6%成長なら達成可能だが、それには刺激策を現在の抑制されたペースから大幅に強化する必要性が生じる。債務の一段の増加と金融のさらなる不安定化を招くリスクがあるが、一部のエコノミストや元政府当局者からは目標を堅持すべきだとの声も上がっている。(ブルームバーグ Sharon Chen、Lin Zhu)

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