海外情勢

ドイツが小売店の営業再開 小規模限定で業界団体から批判も

 欧州連合(EU)最大の経済国、ドイツが20日からロックダウン(都市封鎖)の段階的解除にかじを切る。売り場面積が800平方メートルまでの中小規模の小売店再開を認めた。

 「第1波」乗り切る

 メルケル政権は新型コロナウイルスの感染拡大対策として、独全土で3月22日より外出制限や社会的距離戦略などの措置を施行したほか、企業倒産や大量解雇を回避するため、迅速に1兆ユーロ(約117兆円)余りの経済支援策を打ち出した。独経済が10年前の金融危機時以上に深刻なリセッション(景気後退)に陥る中、メルケル首相の新型コロナ危機対応は称賛を受け、国民に広く支持されている。

 新型コロナのパンデミック(世界的大流行)で欧州全土の工場や飲食店、小売店舗の閉鎖が続く中、早期にウイルス検査を拡大し、感染後のリスクが高く重症化しやすい人々を守るための進んだ取り組みを行ったドイツは、イタリアやスペイン、英国など他の欧州諸国に比べ、新型コロナによる死亡率を抑えてきた。

 シュパーン独保健相は17日、国民が厳格な接触制限措置を守ったおかげでウイルスの「第1波」をしっかり乗り切ったと強調した。

 ウイルス危機後の経済の正常化に向けた一歩を踏み出すドイツで今起こっていることは、イタリアやスペイン、米国などから注目を集める可能性が高い。

 20日には中小規模の小売店舗とともに、車の販売代理店、自転車店、本屋も営業を再開した半面、バーやレストラン、スポーツジム、大型店舗の閉鎖は続く。

 店舗を再開する小売店オーナーによれば、買い物客の安全性を確保するために従業員にマスク着用を推奨するとともに、一度に入店する顧客数を制限する。また顧客は許可されるまで特別に指定された区域で待機しなければならないという。

 メルケル首相は15日の州首相らとの会談で、今回の規制の一部緩和を決定した。だが、この新たなルールに全てが納得しているわけではないし、連邦制を敷くドイツでは、全国統一のアプローチを取るのは難しい。大型家具店の再開も認めるところもあれば、22日まで営業を再開しない店舗もある。

 業界団体から批判も

 一方、一部の州首相と業界団体は連邦政府に対し、これ以上の経済的損害を防ぐためにより迅速な行動を促している。封鎖からの早期離脱を求める中小企業を代表する組織からは、規制の大半を維持する今回の計画への批判が噴出している。

 オーストリアの不動産大手シグナ・ホールディング傘下の独百貨店ギャラリア・カールシュタット・カウフホーフは何としてでも店舗を開けられるようにするために、ノルトライン・ウェストファーレン(NRW)州で提訴した。売り場面積800平方メートル以上の多くの百貨店を運営する同社は、毎週8000万ユーロ余りの売り上げを失っており、ロックダウンが4月いっぱい続けば5億ユーロ以上を喪失することを今月明らかにしている。

 独小売業連盟(HDE)を率いるシュテファン・ゲント氏は独ニュース専門放送局N-TVで16日、800平方メートルという制限は「恣意(しい)的かつ期待外れだ。競争をゆがめる」と述べ、必要な安全衛生面の予防対策を講じた上で、「全店舗が営業を認められるべきだ」と訴えた。

 これに対し、アルトマイヤー経済相は19日の独日曜紙ビルト・アム・ゾンタークの取材で「大型店舗や家電店の落胆は理解できる。だが規模の小さな店舗は余力が少なく、自力でやっていくのははるかに厳しい状態にある」と弁明した。(ブルームバーグ Stefan Nicola、William Wilkes)

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