海外情勢

新型コロナで中国に損害賠償提訴 米ミズーリ州政府、全米の州で初めて

 【ワシントン=黒瀬悦成】米中西部ミズーリ州政府は21日、中国政府および中国共産党、中国の関係当局が新型コロナウイルスへの対応を誤ったせいで同州に重大な経済的被害を与えたとして、損害補償を求めて同州セントルイスの連邦地裁に提訴した。

 中国政府の対応をめぐっては、米国で個人や企業が相次いで集団訴訟を起こしているが、州政府による提訴は今回が初めて。

 ミズーリ州のシュミット司法長官は声明で「中国政府は新型コロナウイルスの危険性や感染力について世界に虚偽の事実を伝え、内部告発者の口を封じ、感染拡大に向けた措置をほとんど講じなかった。彼らの行動の責任は追及される必要がある」と強調した。

 訴状は、中国政府が医療用マスクや防護用品を買い占めたせいで新型コロナの世界的な感染状況を悪化させたと批判。また、同州や州民が受けた経済的損失について「数十億(数千億円)~数百億ドルにのぼる」と試算した。

 ミズーリ州のパーソン知事は共和党員で、州議会も共和党が多数を占める。トランプ米政権は中国の新型コロナ対応を厳しく批判し、感染を世界に拡大させた責任を追及していく構えを打ち出しており、同州の提訴も政権に呼応した動きとみられている。

 ただ、米国の裁判所は原則として外国の政府に対する訴訟管轄権を持たないとされ、実際に中国の法的責任を法廷で追及するのは困難との見方も強い。

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