海外情勢

「巣ごもり需要」もゲーム企業の利益につながらず プレー時間と支出は別

 新型コロナウイルスの感染拡大により不要不急の外出を控える動きが広がる中、世界的にゲームのプレー時間が急増している。しかし、これがゲーム関連の売り上げの大幅な増加に直結するかどうかは別問題のようだ。

 アプリ内購入避ける

 ゲーム業界にとっての朗報は、「巣ごもり需要」の増加により、ゲーム人口とプレー時間が増加していることだ。米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズは米国がロックダウン(都市封鎖)を開始して以来、同社の通信網でゲームの通信量が75%増加したと明らかにした。

 調査会社ニールセンが3月末に米国、フランス、ドイツ、イギリスで実施した聞き取り調査の結果、調査対象者の57~71%のゲームのプレー時間が増加した。外出自粛中の人々は任天堂の「あつまれ どうぶつの森」で無人島生活を満喫するほか、米アクティビジョン・ブリザードの「コール オブ デューティ ウォーゾーン」で敵軍を爆破するなどして退屈と不安を和らげている。米エピック・ゲームズの人気ゲーム「フォートナイト」はここ数週間で過去最高の同時ログイン数を突破した。

 一方、業界にとっての悩みの種は多くのプレーヤーが出費を控えており、プレー時間の増加が売り上げに反映されていないことだ。彼らは無料でプレーできるゲームを好み、武器や装備などを入手するためのアプリ内購入を避ける傾向にある。

 市場調査会社IDCのゲーム研究ディレクター、ルイス・ワード氏は「プレー時間に見合うような支出の増加はみられない」と指摘する。ニールセンによると、ゲームに費やす時間が増加する一方、ゲームに対する出費を増やしたのは調査対象者の約半数にすぎないと指摘している。

 ゲーム企業にとって重要な収益源の一つであるゲーム内広告への接触率も低い。広告テクノロジー企業アイロンソースによると、ロックダウン以来、中国でのゲームの1日当たりのアクティブユーザー数は60%増加したものの、ユーザーのゲーム内の広告への接触は15%増にとどまった。

 こうした背景には、自粛中に流入してきた新規ユーザーの多くが普段ゲームをしない「カジュアル層」であり、多額の出費をせずに手軽に楽しめるゲームを求めている事情がある。グーグルではキーワード「無料ゲーム」の検索数が3月に過去4年間で最高水準にまで上昇する一方、「有料ゲーム」の検索数は横ばいだった。

 不況続けば節約対象

 今後もゲームブームが続けば、ゲーム企業はこれらカジュアル層の一部をより忠実な顧客に変える機会を得られる可能性もある。しかし、業界が最も恐れるのは、コロナ不況の長期化だ。不況が続けば、衣食住の必需品ではないゲームは支出の優先順位が下がり、節約の対象になる可能性が高いためだ。

 ニールセンのゲーム調査部門スーパーデータの主席アナリスト、カーター・ロジャーズ氏は「今は間違いなくゲームへの支出が増える時期であり、同様の状況が今後2~3カ月は続く見通しだ。しかし、人々の収入が減少するにつれ、娯楽費が抑えられる恐れもある」と話した。(ブルームバーグ Olga Kharif)

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