海外情勢

米で食肉供給不足の恐れ 生産加工工場が新型コロナで次々閉鎖 (1/2ページ)

 新型コロナウイルスの感染拡大により、米国やカナダ、ブラジルで食肉加工施設の閉鎖が加速度的に広がっている。米国では豚肉生産施設のほぼ3分の1が停止する事態に陥り、専門家らはわずか数週間で国内の豚肉が不足すると警鐘を鳴らす。

 世界最大の鶏肉、牛肉輸出国のブラジルでは、世界有数の食肉加工会社JBS所有の工場が閉鎖された。カナダでも主要施設が停止となり、最近ではブリティッシュ・コロンビア州の工場が閉鎖となった。

 これら3国は合計で世界の食肉取引の約65%を占める。米州で数百の施設がまだ稼働しているとはいえ、供給停止が信じがたいペースで加速する事態は、新型コロナのパンデミック(世界的流行)下での世界的な食肉不足の懸念を投げかける。

 ASF流行に追い打ち

 折しも最大の豚肉生産国の中国がアフリカ豚熱(ASF)の流行で何百万頭も失い、世界の食肉供給はすでに逼迫(ひっぱく)していた。これに新型コロナの大流行で世界中の飲食店が閉鎖する事態に陥り、食肉会社の一部が生産ペースを落とし、その後に米州の生産施設の稼働停止が重なった。

 米コンサルティング会社グローバル・アグリトレンズ(デンバー)のブレット・スチュワート社長は「前代未聞の事態だ。生産者はすべてを失うリスクを、消費者は一段と高い価格で購入するリスクを負う、双方に不利な状況だ。1週間で飲食店から新鮮な牛ひき肉がなくなる可能性がある」と危機感を募らせる。

 米国では目まぐるしい速度で生産施設が閉鎖されている。世界最大の豚肉生産会社スミスフィールド・フーズは4月24日、イリノイ州で新たに操業を停止すると発表した。そのわずか1時間弱前にはホーメルフーズが、七面鳥加工食品ブランド「ジェニーオー」のミネソタ州の生産施設2カ所が稼働していないと発表していた。JBSは4月26日、ウィスコンシン州の牛肉生産施設を閉鎖する方針を明らかにした。

 スミスフィールドは4月24日の声明で「今回のパンデミックのさなかにわれわれの業界全体が手に負えない選択肢を突き付けられた。つまり、われわれの国の食糧供給持続のために事業を継続するか、あるいは従業員にリスクが完全に及ばないように操業を停止するかだ。大変な選択であり、そうすることを誰にも望まない」と訴えた。

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