海外情勢

世界の命運を左右する企業再開 新型コロナ第2波警戒、米中では温度差 (1/2ページ)

 世界の企業が新型コロナウイルスによる顧客と従業員の健康リスクを最低限に抑えつつ事業再開にこぎ着けようとさまざまな方法を模索中だ。一度抑え込んだ新型コロナの感染が再び広がれば、経済活動は再度停止し、物流やサービスなどの産業や雇用環境は現在以上に厳しくなりかねない。企業がバランス良くリスクと向かい合いながら事業再開を果たせるかに世界経済の命運が懸かってくる。

 微妙なさじ加減が求められる事業再開のプロセスは、中国などは厳重な監視下で進める一方、米国などは比較的緩い規制で企業の裁量に任せている。個々の企業レベルの対応も同様に、従業員の監視を一層強化するケースと、従業員に独自に自衛手段を取らせるケースがある。数週間後の事業再開を想定して世界の企業が打ち出す方策から、2020年以降の仕事や消費、旅行、飲食がどのような形態に変わるかをまとめた。

 “抗ウイルス”不可欠

 【仕事】「社内でマスクを外さない、エレベーターは使用を避ける、階段の手すりは触れる前と後に手を消毒する」といった職場での行動を厳しく規制する感染対策は、中国などの統制社会では意外ではないが、欧米企業の間にも同様の厳格な対策を採用するケースが増えている。英通信大手のBTグループは、コールセンターの座席を2メートルの間隔をあけて配置し、接触を避けるため通路は一方通行にした。

 米ウーバー・テクノロジーズやネットフリックスなどにオフィススペースを提供するノテルのアモル・サルバ最高経営責任者(CEO)は「職場のデザインは将来的に『抗ウイルス仕様』に変わってゆくだろう。この先、人の密集度を下げるため、オフィス面積は広くなるのが確実で、換気システムや紫外線除菌ライト、監視カメラ、体温モニター、清掃マニュアルなどは全て再検討が必要だ」という。

 また、米不動産サービスのクッシュマン・アンド・ウェイクフィールドは、オフィスビルオーナーと賃借人のための事業再開に向けた準備マニュアルを作成中で、カーペットに色付けしてデスク周囲の境界線を明確化したり、向かい合うデスクの間にアクリル板を設ける中国での経験も取り入れているという。

 働き手がオフィスに戻ってもミーティングの頻度は減るのは確実で、大人数の集会は論外だ。米フェイスブックのザッカーバーグCEOは4月中旬、50人以上が集まるイベントを21年6月まで全てキャンセルした。同社は5月中は大多数の従業員を在宅勤務とし、その後も今夏中は希望すれば在宅勤務を継続するという。

 【工場】在宅勤務が可能なオフィスワーカーと異なり、工場の作業員は社外で業務はできない。作業員のために最低限必要な感染防止策を見いだすことが企業の課題だ。

 米シアトルにあるボーイングの工場では工業エンジニアが作業工程を分析し、作業員同士の間隔をあける方法を模索。また、米労働省の協力で工場の稼働再開に向けた計画を進めており、最も感染リスクの高い環境で作業する人には効果が広く認められているマスク、N95を配布するほか、ほぼ全ての従業員に布製マスクを配布する。

 また、ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は、工場内で作業員間で安全な距離を保ちながらの作業が通常より時間を要すことを考慮し、シフトの間隔を延ばす。同時に、生産目標も減らしている。米フォード・モーターは他の作業員と近づきすぎると音で知らせるウエアラブル端末を実験的に使用している。

 ブルームバーグの調べによると、欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は、工場で勤務する際、出社2時間前に健康状態などの質問に答え、結果を示すQRコードか用紙を提出するようにしている。

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