海外情勢

アジア縫製下請け極貧 新型コロナで解約・未払い多発し労働者支援は皆無 (1/2ページ)

 新型コロナウイルスの感染拡大でアパレル産業の供給網が断裂し、大手ブランドや小売業者らが下請けに出した注文を取り消したり、代金を払わないケースが多発している。その結果、特に大きな打撃を受けているのが低い労働コストを武器に中国から生産拠点の移転先となったバングラデシュやパキスタン、カンボジアなどアジアの貧しい国々の労働者だ。

 彼らは縫製工場を解雇され、蓄えがほとんどないまま食料も尽きかけ、極貧生活にさらされている。それでもロックダウン(都市封鎖)で仕事を探しに出かけることも出身地の農村に帰ることもできず、どうやって家族が生活していけるのかと途方に暮れる日々を送る。

 31.7億ドル相当が幻

 バングラデシュ、カンボジア、ミャンマー、パキスタン、ベトナムの服飾メーカーを代表する統括組織「STARネットワーク」は4月8日、国際的なブランドや小売業者、貿易業者に対し、契約条件を守り、支払いの再交渉や注文取り消しをせず、市場に商品を供給する数百万の労働者とその家族への支援を求める共同声明を発表した。

 声明は「国際的な企業が労働者の権利、社会的責任、持続的な供給網に対する責務を守るときだ」と訴えている。

 だが縫製工場で働く多くの労働者に対する支援は皆無だ。バングラデシュで計400万人の雇用を抱える複数の企業で構成する最大の業界団体、バングラデシュ衣料品製造・輸出業者協会(BGMEA)のルバナ・ハク会長は取材に対し、「労働者を極度の貧困に陥らせることになる」と懸念を募らせている。

 ハク会長によると、国内1100カ所余りの縫製工場からの報告では、4月20日時点で輸出収入にして31億7000万ドル(約3390億円)相当の注文のキャンセルを受け、227万人の労働者に影響が及んだという。

 ほぼ全てのブランドと小売業者が「不可抗力条項(フォースマジュール)」の適用を宣言しており、生地の裁断工程まで進んでいても、無条件に発注を取り消したという。注文取り消しは銀行業界に衝撃を与えた。繊維会社は今や与信を受けることができない。

 ハク会長は「われわれは全ブランドに対し、進行中のプロジェクトや他の発注分の支払い履行を伴う救済計画の立案を、文字通り懇願している」と説明。自身は嘆願の動画を米ワシントンの国際綿花諮問委員会(ICAC)のウェブサイトに投稿している。

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