海外情勢

英がロックダウン一部緩和 製造・建設などに職場復帰促す

 ジョンソン英首相は10日、新型コロナウイルス感染防止のため導入した移動制限を段階的に緩和する計画を発表した。経済活動を再開させるため「最初の慎重な一歩」を踏み出す。

 同首相は国民向け演説で、ロックダウン(都市封鎖)を早急に終わらせることはないと強調したうえで、13日から移動制限を緩和することを明らかにした。ゴルフやテニスなどの屋外レジャー活動の時間に制限を設けないほか、イングランドで公園やビーチに車で出掛けることを認めた。製造業や建設業など自宅勤務が不可能な職種については職場復帰を促した。小学校や商店は早ければ6月1日からの再開を目指す。

 一方で、通勤には公共交通機関の利用をできるだけ避けるよう求め、主要地域では社会的距離(ソーシャルディスタンス)確保のルールに違反した場合の罰則を強化するとも発表した。

 市中の感染リスクを5段階で表示する警戒システムも導入する。同システムでは正常に近い「レベル1」の緑から、最も警戒すべき「レベル5」の赤までの5段階を色で示す。ジョンソン氏は現在の英国の水準はレベル4だが、まもなく3に改善する可能性があると説明した。

 英政府は今回、これまでの「ステイホーム(家にいよう)」という標語を「ステイアラート(警戒しつづけよう)」に切り替えた。他人と2メートル以上の距離を保ち、不必要な移動を避けるという指針の順守と、職場復帰の両立を図る狙いがある。

 しかし、今回の計画について野党などから不明確だとの批判の声が上がっている。最大野党・労働党のスターマー党首はジョンソン氏の演説が「明瞭さと民意を欠いており、新たな多くの疑問を生み出した」と批判。英国の4大労組は政府に対し、人々の職場復帰を認める前に、適切な感染防止策を徹底するよう求めている。

 英北部スコットランド行政府のスタージョン首相は地元テレビ「STV」に対し、ジョンソン氏の演説の大部分はイングランドのみに適用されると説明し、スコットランドでは引き続き「ステイホーム」の標語を使う方針を示した。

 英国は10日の新型コロナによる死者数が269人となり、累計の死者数が欧州で最多となった。英インペリアル・カレッジ・ロンドンは先週、早期に緩和を行えば死者数は10万人に膨らむ可能性があると警告していた。(ブルームバーグ Stuart Biggs)

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