海外情勢

超高層エレベーター非接触 ウォール街が復帰行員の感染抑止へ

 米ニューヨーク市マンハッタンにあるシティグループの本社内では、経営幹部らがウォール街の多くの金融機関を悩ませる問題の解決に取り組んでいる。従業員をどうエレベーターに乗せるかという問題だ。

 計画策定に幹部奔走

 新型コロナウイルス感染拡大に鈍化の兆しが見え始めたニューヨークでは、世界の大手銀行がほぼ空のオフィスタワーに社員を最終的にどう復帰させるかの計画策定に奔走している。

 ライバル銀行よりも多くの国で事業展開するシティは、水面下で進むこうした議論を象徴する存在だ。多くの課題に直面するシティは、日付を設定せずに緩やかで段階的な職場復帰を想定するよう従業員に通知。年内は在宅勤務を続ける可能性のある人もいるとしている。

 マイケル・コルバット最高経営責任者(CEO)は4月下旬、50カ国余りの従業員に向けたオンライン会議で「われわれは地域ごとによくカスタマイズされた考え方を採用する」と説明。「明日から職場復帰」と通知する電子メールが前日に来るようなことはないと述べた。発言を聞いた複数の関係者が明らかにした。

 ウォール街の大手銀行幹部らは超高層ビルにスタッフを復帰させる方策について非公開の議論を共有することで一致しているが、多くの幹部はまだデータ収集と詳細な議論を行っている段階で、最終決定はその後だと強調した。

 案内係の外部配置案

 シティとゴールドマン・サックス・グループ、JPモルガン・チェースはいずれも、感染防止のためロビーやエレベーターの見直しを検討中。JPモルガンはエレベーターの外に案内係を配置して従業員がボタンを押す必要性を減らす可能性がある。ゴールドマンは非接触でドアを開ける方法を模索しており、ハンドルに触れる際に使用できる使い捨てのウエットティッシュを設置する可能性がある。

 大手行はさらに、従業員の健康観察で積極的な役割を担うことも検討しており、感染流行を早期に発見するため、出社時の検温のほか、デスクでさえもマスク装着を義務付ける案や施設内でのウイルス検査提供の可能性も探っている。オフィスの座席やカフェテリアなどの共有スペースの再編も計画しているほか、スタッフが公共交通機関を使わずに通勤するための支援の是非を議論する銀行もある。それでも多くの年配の従業員や疾患のある人は安全のため、無期限で在宅勤務する必要性が出てきそうだ。

 シティのトレーディング部門の一部中間管理職らはまだ決定が下されていない中で、スタッフの約半分が12月まで在宅勤務できる可能性を含めさまざまなシナリオをひそかに提案している。ただ、上級幹部は職場復帰はパンデミック(世界的大流行)の動向に左右されるため、こうした日程は決定されていないと述べ、同じ理由から職場復帰は勤務地によって大きく異なるとしている。(ブルームバーグ Jennifer Surane、Michelle Davis)

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