海外情勢

米マイナス金利観測消えず FRB議長否定も市場織り込み済み

 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は13日の講演で、マイナス金利導入の可能性は小さいと語り、トレーダーの間の観測を打ち消そうとした。しかし、主要政策金利の操作対象であるフェデラルファンド(FF)金利先物は5営業日連続でマイナス金利を織り込むなど金融市場にはゼロ金利導入観測が根強く続いている。

 パウエル議長は同日のビデオ講演の後の質疑応答で「マイナス金利に関して示されている結果はまちまちだ」と述べた。米金融当局者らは、他の中央銀行にならってマイナス金利の方向に進むか否かを議論した上で、他の手段を選択したと説明。「現時点では、マイナス金利は検討の対象ではない」と言明した。

 トランプ米大統領は同日の記者会見でパウエル議長について「過去数カ月は良い仕事をしてきた。最も目覚ましく良くなったプレーヤーだ」とした上で「一つの点で彼とは現時点で意見が異なる。それはマイナス金利だ。私はマイナス金利の信奉者だ」と述べた。

 市場の織り込みはパウエル議長の発言を受けてやや後退したものの、トレーダーはなおも来年前半の導入の可能性に備えている。

 各国の政策当局者が新型コロナウイルスの感染拡大の打撃を受けた経済を回復させるのは、長くて困難な道のりになると世界の投資家は想定している。

 こうした中で、英国のトレーダーは今週、実際に導入されれば同国史上初となるマイナス金利を織り込む形となり、ニュージーランドでは中央銀行自体が政策金利をマイナス圏に引き下げる選択肢を検討したことを明らかにし、トレーダーも可能性を見込んでいる。

 ミシュラー・ファイナンシャル・グループのマネジングディレクター、トニー・ファレン氏はパウエル議長について、「自身を含む金融当局者がマイナス金利を支持しないと繰り返す一方で、完全には排除しなかったことで、観測が広がり続ける余地を残した」と指摘した。

 その上で、「金融当局が市場を率いる前に、市場が金融当局を強固に先導しており、最初に市場金利がマイナス圏に突入しても意外ではない」とし、その場合、財務省短期証券(TB)と米2年債の利回りにまず顕在化することになるだろうと話した。(ブルームバーグ John Ainger、James Hirai)

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