国内

フェースガード生産に活路 大阪・八尾の紙箱業者 医療関係者から助言

 新型コロナウイルス対策で百貨店や土産店の営業が縮小し、菓子用紙箱の需要減に苦しむ製造業者が、ウイルスを含んだしぶきから顔を守る医療用防護具のフェースガード生産に活路を求めている。「今、必要とされる製品を」と医療関係者の助言を受けながら製品化、販路開拓を目指す。

 大阪府八尾市の江見印刷紙工は従業員70人ほど。顧客の注文に応じ、さまざまな形の紙箱を生産してきた。だがコロナの影響で売り上げは3割減少。「状況を打開できるものを探していた」と経営企画室室長の江見昌洋さん(36)は振り返る。

 4月上旬、知人の医師らから「医療現場でフェースガードが不足している」と聞いた。江見さんはすぐに社内の製作部門に設計を依頼。歯科医らから大きさや素材などのアドバイスをもらって試行錯誤を重ね、製品を完成させた。

 顔を覆う透明なプラスチックのシートをゴムバンドで頭に固定する設計で、目や鼻、口からのウイルス侵入を防ぐ。額に当たる部分は手作業でスポンジを貼った。マスクと違って表情が見え、コミュニケーションが取りやすいのが利点だ。特殊な材料は必要なく、既存の設備を転用できた。1日に最大約2000個の生産が可能。歯科医院やスーパーなど、感染防護が必要だが行き渡っていなかった現場にも供給したいと意気込む。

 まずは試してもらおうと4月下旬、八尾市に約300個を寄付した。販売業者からの問い合わせも入り始めた。江見さんは「販売を軌道に乗せ、難局を乗り切りたい」と力を込めた。

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