海外情勢

2期目の台湾・蔡政権「信頼できるパートナー」 米国、半導体協力で対中強化へ

 【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米政権は、2期目を迎えた台湾の蔡英文政権について、自由と民主主義の価値観を共有する「信頼できるパートナー」と位置づけ、中国の覇権的行動に一致して立ち向かっていく構えだ。

 ポンペオ米国務長官は19日、蔡英文総統による20日の2期目の就任式を前に「蔡氏に祝意を表したい」とする声明を発表した。

 ポンペオ氏は「台湾の活力ある民主体制を率いる蔡氏の勇気と洞察力は地域と世界の励みだ」と称賛し、「台湾を支持する米国の立場は超党派で完全に一致している」と指摘した。

 ポンペオ氏はまた、「米台は、東アジアで全ての人々が法の支配、透明性、繁栄と安全などを享受すべきだとの展望を共有している」と強調し、米台は中国の権威主義への対抗軸であるとの立場を打ち出した。

 米台による中国封じ込めの連携的な取り組みをめぐっては、今月に入って重要な動きがあった。

 トランプ政権は、世界最大の半導体受託製造会社である台湾積体電路製造(TSMC)が米西部アリゾナ州に最先端の大型工場を建設すると発表して間もなく、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が米国で製造されたTSMC製品を調達できなくするため、ファーウェイに事実上の禁輸措置をかけた。

 TSMCの半導体製品はファーウェイ製の高性能スマートフォンをはじめ、中国製のパソコンや製造機械、航空機などの集積回路に大量に使われており、禁輸措置は中国にとってこれまでにない深刻な打撃となる可能性が高い。

 一方、米国としては中国製の電子部品に頼ることなく、米国製造のTSMC製品を最新鋭ステルス戦闘機F35や第5世代(5G)移動通信システムに搭載することができ、安全保障上の脆弱(ぜいじゃく)性を軽減できる。

 半導体分野での米台連携は、中国のハイテク覇権阻止に向け決定的な役割を果たす可能性が出てきた。

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