海外情勢

22日から全人代、新型コロナで不確実性高く 成長目標公表ジレンマ

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で開催が延期されていた第13期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)第3回会議が22日、北京で開幕する。全人代は主要経済目標が打ち出される重要な場だが、今回は経済環境の不透明感が続く中、国内総生産(GDP)成長率目標の公表が見送られるとの観測も浮上している。

 政策立案の基盤

 全人代は例年、3月上旬に開幕するが、今年は約2カ月延期された。GDP成長率目標は通常、中央と地方の政治機構の政策立案に役立てるための基盤となるが、今年は新型コロナ危機で不確実性が相当高まり、中国当局ではGDP成長率目標の提示取りやめが検討されている。

 中国指導部が例年のように数値目標を掲げると決めた場合、成長率目標が高過ぎれば、コストの膨らむ刺激策と債務増大を余儀なくされる。一方で、低過ぎれば2020年のGDPを10年比で倍増させるという長期目標が未達に終わるというジレンマに陥ることになる。

 スタンダードチャータード銀行の大中華圏・北アジア担当チーフエコノミスト、丁爽氏(香港在勤)は「目標が設定された場合、いかなる代価を払ってでも達成しなければならない任務というよりも予測のように見える可能性がある」と話す。

 同氏は2~3%前後の柔軟な成長目標になると予測。その理由を「柔軟性の高いGDP目標であれば、国内もしくは国外のショックで正当化され、大きく外れても許される」と説明した。

 ブルームバーグが19日実施したエコノミスト調査によると、今年の中国GDP成長率は1.8%が見込まれている。感染拡大を押さえ込むために1~3月期に講じられた経済活動の制限は少しずつしか緩和されておらず、世界の需要が落ち込んだ状態が続く公算は大きい。中国は今も新型コロナ感染の第2波到来リスクに直面する。

 JPモルガンはリポートで、中国指導部が全人代で成長目標を発表せず、雇用や食料、エネルギー安全保障、サプライチェーン(供給網)の安定性など経済や社会安定性の問題に重点を置くと予測。「中国経済がまだ国内外の重大な不確実性に直面していることを考慮すると、これは現実的な選択だ。政府が引き続き、成長の数値目標を発表する場合、高過ぎたり低過ぎたりするリスクを負うことになる」と指摘した。

 オックスフォード・エコノミクスのアジア担当チーフエコノミスト、ルイス・クイジス氏(香港在勤)は「GDP目標が政府機構全体の政策立案で果たしてきた機能が、目標を永久に設定し続ける理由にはなり得ない。いつか中国は政府のさまざまな部分や層の間の政策協調について改革を行う必要がある」と強調する。

 国有企業改革深化

 一方、中央政府は全人代を控え、国有企業改革の深化と外国企業による本土市場への参入を容易にすると表明した。

 共産党中央委員会と国務院が公表し、国営新華社通信が報じた「社会主義市場経済」の改善に関する文書によれば、政府は外国企業が参入できる事業分野を増やし、モノとサービスの輸入を拡大するため関税を引き下げると説明している。

 政府はまた、石油・ガスパイプライン網の開放を後押しし、適切な時期に天然ガス価格を自由化することも約束。金利改革を深める必要性とともに、人民元の国際化を着実に促していく方針も明らかにした。市場関係者は、全人代で具体的な刺激策が発表され、予算承認後にインフラ整備計画などのプロジェクトが推進されて市場が活性化することを期待している。(ブルームバーグ Sharon Chen、Yinan Zhao)

 

全人代で発表があり得る数値目標(4月24日までのエコノミスト予想中央値)

 ・GDP成長率

  3%未満もしくは発表なし

 ・財政赤字

  対GDP比3.5%以上

 ・地方政府の特別目的債

  3兆~4兆元

 ・ウイルス対策の特別国債

  1兆~2兆元

 (ブルームバーグ)

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