国内

日銀の総資産600兆円超、コロナ対策でドル資金供給増 8年連続過去最高

 日本銀行が27日発表した令和元年度の決算によると、3月末の国債などの総資産残高が前年同月比8・5%増の604兆4846億円と、8年連続で過去最高となった。新型コロナウイルスの感染拡大を受け3月にドル資金供給を拡充したため、外貨資産にあたる「外国為替」が大幅に増えた。また、企業の資金繰り支援を強化したため、企業が発行するコマーシャルペーパー(CP、無担保の約束手形)や社債の保有残高も拡大した。

 総資産が600兆円を上回るのは初めて。内訳をみると、増加率が最も大きい外国為替は前期比3・9倍の約26兆円。新型コロナの感染拡大に伴い金融市場が混乱し、基軸通貨であるドルを確保しようとする動きが急激に強まった。このため日銀が3月、邦銀へのドルの貸し付けを拡充したため資産も膨らんだ。

 日銀は3月の金融政策決定会合で、企業が資金調達のために発行するCPや社債の買い入れ額を増やしたほか、多くの株式を組み合わせた金融商品である上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)の購入も増額し、保有残高もそれぞれ増えた。

 もっとも株式市場の低迷で、ETFの含み益は約3000億円となり、前期末に比べ10分の1以下に目減りした。

 企業の最終利益にあたる剰余金は2・2倍の1兆2952億円。前期に比べ債券取引の損失に備えた引当金など特別損失が減少したことが増益の主な要因だ。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus