海外情勢

英、香港市民の滞在可能期間を延長へ 中国「国家安全法」に対応

 【ロンドン=板東和正】英国のラーブ外相は28日、中国政府が香港に国家分裂行為などを禁じた「国家安全法」を導入する方針を撤回しない場合、英国発行のパスポートを持つ香港市民の英滞在可能期間を延長すると表明した。

 国家安全法の導入で香港の「高度な自治」が失われる事態を想定し、香港住民の受け入れ態勢を整備する考えとみられる。

 1997年に英国が香港を中国に返還する前に、香港市民を対象に発行していたパスポートを所有する30万人以上が、新方針の対象になる。

 同パスポートを持つ市民に英国の市民権はなく、英国での滞在可能期間も6カ月に制限されているが、新方針では12カ月に延長。就労や学業申請を認め、英国の市民権獲得につなげるという。また、ラーブ氏は28日、国家安全法への対応について、米国など同盟国と協議する方針を示した。

 国家安全法の導入方針をめぐっては、英国、米国、オーストラリアとカナダの4カ国が28日、共同声明を発表し、深い懸念を表明。香港の高度な自治を2047年まで保障した中英共同宣言と「相反している」と指摘した上で、「一国二制度を弱体化させる」と批判していた。

 英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は28日、「英政府は、中国の(香港に対する)弾圧に大胆に反撃し、30万人以上の香港住民に市民権への道を開いた」と報じた。

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