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全産業、1~3月期経常益32.0%減 リーマン以来の下落率

 財務省が1日発表した2020年1~3月期の法人企業統計(速報値)は、金融・保険業を除く全産業の経常利益が前年同期比32.0%減の15兆1360億円で、4四半期連続のマイナスだった。下落率はリーマン・ショック後の09年7~9月期(32.4%減)以来、10年半ぶりの大きさ。消費税率が引き上げられた19年10月以降の伸び悩みに加え、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停滞が響いた。

 売上高は3.5%減の359兆5572億円で、3四半期連続のマイナス。政府は今年4月に発令した新型コロナの緊急事態宣言を5月に解除したが、感染再拡大への不安から本格的な経済活動の再開にはほど遠く、4~6月期はさらに悪化している可能性がある。

 製造業の経常利益は29.5%減、非製造業は32.9%減だった。財務省は「新型コロナによる経済全体の厳しい傾向を反映している。今後の企業動向を注視したい」と説明した。

 業種別では、外出自粛に伴う飲食店や宿泊施設、観光地への客足鈍化により、非製造業のサービス業が59.6%減と大きく落ち込んだ。卸売業・小売業は、原油など資源価格が下落したことから38.0%減。製造業でも、世界的に需要が低迷した輸送用機械が50.7%減となった。

 全産業の設備投資は4.3%増で、2四半期ぶりのプラス。発電所の安全対策工事などがあった電気業が39.2%増と伸びた。

 財務省は今回、新型コロナの影響で企業の回答率が十分でないとして、確報値の公表を見送った。7月末をめどに改めて発表するとしている。

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【用語解説】法人企業統計

 企業活動の実態を把握するため、財務省が業種や資本金別に企業の業績、財務状況を集計している調査。景気を左右する設備投資の動向が特に注目される。3カ月ごとの四半期別調査と年1回の年次別調査があり、四半期別は資本金1000万円以上の企業が対象となる。結果は内閣府が発表する国内総生産(GDP)の改定値に反映する。

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