海外情勢

暴動抑止に軍隊配備辞せず 米大統領、州・自治体に行動促す

 トランプ米大統領は1日夜(日本時間2日午前)、ホワイトハウスのローズガーデンで演説し、白人警察官による黒人暴行死事件への抗議デモが全米に拡大して一部が暴徒化している問題をめぐり、暴力抑止に向け都市や州が行動しないなら自身で全土に軍隊を配備することも辞さないと明言した。

 大統領は「われわれは暴動や無法状態を終わらせる」と発言。国民に「あなた方を守るために私は闘う。私はあなた方の大統領として法と秩序を守る。そして全ての平和的な抗議者を支持する」と呼び掛けた。

 演説が始まる直前、警官隊が催涙ガスなどを使用し、ホワイトハウスのすぐ北側のラファイエット広場周辺に集結していた平和的なデモ隊を強制排除した。

 国防総省は首都ワシントンに600~800人の州兵を動員する方針を表明。これら州兵はホワイトハウスの警護と国定記念物の保護に当たるほか、地元警察に協力するという。

 大統領とホワイトハウス当局者は、連邦直轄地の首都ワシントン外に軍隊を配備する場合、どのような権限に基づくか質問に答えなかったが、関係者によれば、大統領は1807年暴動法に基づいて部隊派遣を行うことを検討している。

 1992年のロサンゼルス暴動時に発動された同法は、憲法が保障している市民の権利を州が担保できない場合、大統領が州兵を連邦管理下に置くほか、米軍を派遣することを認めている。連邦法は原則的に連邦軍の国内での法執行を禁止しており、治安維持は州と自治体に委ねられている。

 大統領は演説で「市や州が住民の生命や財産を守るのに必要な措置を講じることを拒否する場合」は軍を配備するつもりだと発言し、米大統領として州知事の同意なしに暴動法を発動する初のケースになる可能性を示唆した。しかし、連邦軍が国内の法執行を行うのを禁じる民警団法に抵触する可能性もある。

 ただ、大統領の支持者らは、全米の大都市で抗議活動が数日にわたり続いていることから極端な措置も正当化されると主張する。首都ワシントンのバウザー市長は暴徒化した群衆が放火や略奪を行ったことを受け、夜間外出禁止令を発令した。

 今回の演説には、大統領選を控える中で法秩序を維持する姿勢をアピールする狙いがありそうだ。トランプ大統領は広く批判されている新型コロナウイルス感染拡大への対応から争点をずらそうとしてきた。歴代の大統領は抗議デモが激化した場合に、柔軟な姿勢を示すことで沈静化を図っていたが、トランプ氏はそうした役割を果たすのを避けた形だ。(ブルームバーグ Chelsea Mes、Kim Chipman)

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