海外情勢

整備士育成に日本が協力 ミャンマーで輸出中古車故障に対応

 急速な経済成長で本格的な「車社会」到来を迎えつつあるミャンマーが、深刻な整備士不足に悩まされている。メンテナンスが行き届かず、突然の故障で止まった車による渋滞も日常風景だ。対応を急ぐため、これまで大量の中古車を送り出してきた日本が官民での人材育成に乗り出した。

 ミャンマーは2011年の民政移管から経済開放が急速に進展。12年から17年まで、毎年10万台以上の日本製中古車が輸入されてきた。新車市場はまだ年2万台規模にすぎず、路上を走る8~9割は日本製中古車だ。

 一方で、整備士の育成は、ベテランが自己流の知識を伝授する師弟制度に頼っているのが実情。技能が不十分な整備工が多く、車検制度は十分に機能しておらず「直せる車両も直せない」(業界関係者)。

 最大都市ヤンゴンでは1月、国立高校の跡地に、国際協力機構(JICA)が無償資金協力した工業学校が開校。整備士コースに第1期生20人を受け入れた。同校では3年後に日本の国家資格で「2級自動車整備士」に当たる技能が得られるとあって、入学希望者が定員の20倍を超える人気ぶりだった。22年には枠を2倍に増やす予定だ。

 同校は高校の成績などを基に学生を厳選。難関をくぐり抜けた男性、ワイ・ヤン・ウィン・ミンさんは「子供の頃から憧れた、自動車に携わる仕事に人生を懸けたい」と意気込む。

 日本からは、愛媛県で自動車販売や整備などを手掛ける愛媛日産自動車(松山市)も養成校を計画。学校では日本語の授業も取り入れており、外国人技能実習生としての送り出しもにらむ。

 ミャンマーに進出する民間企業とJICAによる18年の調査では、ヤンゴンを走る車両の6割がブレーキ性能で日本の車検基準に満たず、9割で照明の明るさが不十分だった。商用車では積載量を少しでも増やすための改造も多いという。

 調査に参加した自動車機械工具販売の大盛商会(大阪府守口市)の玉置哲也社長は「日本側は、輸出した後の責任も忘れてはならないのではないか」と話している。(ヤンゴン 共同)

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