海外情勢

「デジタル課税」計画 大手IT企業擁する米国とEUなどの“せめぎ合い”に

 トランプ米政権は同国の大手IT企業を対象にした欧州連合(EU)やインドなどによる「デジタル課税」計画について、通商法301条に基づき調査を開始する。こうしたデジタル課税計画が差別的だと判断された場合、EUなどからの輸入に制裁関税を発動することもあり得る。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済対策の財源を確保したい各国・地域と、多数の大手IT企業を擁する米国とのせめぎ合いが始まった。

 「不当に米企業狙う」

 米通商代表部(USTR)によると、2日に発表された同調査はEUとインドのほか、オーストリア、ブラジル、チェコ、インドネシア、イタリア、スペイン、トルコ、英国が既に導入したか、検討しているデジタル課税計画を対象にする。これらのデジタル課税計画では、アップルやアマゾン・コム、アルファベット傘下のグーグルなどが課税される可能性がある。

 USTRは既にフランスのデジタル課税に対する調査を完了したが、米仏両国は経済協力開発機構(OECD)で世界的枠組みに関して交渉中であることから、フランスからの輸入への制裁関税賦課は見送られている。

 USTRによる301条調査は結論が出るまで数カ月かかる可能性がある。知的財産に関連する中国の措置などをめぐる301条調査は、中国からの輸入品約3600億ドル(約39兆円)相当への追加関税賦課につながった。

 USTR報道官は今のところコメント要請に応じていない。グーグルの広報担当者は調査についてコメントを控える一方、同社としては「一方的な課税」には反対だと述べた。

 今回の調査は米議会では珍しく、超党派の賛同を得ている。上院財政委員会のグラスリー(アイオワ、共和)、ワイデン(オレゴン、民主)両議員は共同声明で、USTRは「米企業を不当に狙って差別するデジタル税を適切に調査しているところだ」と述べた。

 国際的合意は越年か

 OECDは、大手IT企業を中心とした多国籍企業がユーザーや消費者を抱える国々での課税方法について、国際的な税制見直しを進めており、経済の電子化に対応した法人課税ルールについて約140カ国の合意を見いだそうと尽力している。新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が協議の妨げになったものの、OECD高官らは年内に合意に達するという当初目標を崩していない。

 ただ高官の中にはかねて、この国際的な法人課税見直し計画が21年にもつれ込む可能性を認める者もいる。

 一方、米英両国は自由貿易協定の締結に向けた協議を始めたばかりで、2日の調査発表が両国の論争の争点となる可能性がある。(ブルームバーグ Jenny Leonard、Laura Davison)

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