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実際には失業率20.5%? 中国の失業者増大は防げるのか

 中国では、新型コロナウイルスの流行は収まったものの、失業者の増大という社会の安定にも関わる問題に直面している。ほぼ全国規模で都市封鎖したことから、膨大な失業者が生まれてしまった。生産再開後も、操業率は思うようには上がらず、職場に復帰できない農民工が数多くいる。加えて、7月に卒業予定の大学生の就職活動が始まっているが、企業の求人数は昨年を大幅に下回っており、深刻な就職難が発生している。(拓殖大学名誉教授・藤村幸義)

 アジア開発銀行(ADB)は最新の報告の中で、新型コロナによる中国の労働市場への影響は6290万~9520万人に達するとの分析結果を明らかにしている。日本などと違って都市を完全に封鎖したことによる打撃が、予想以上に大きかったというのである。

 中国国内では、中泰証券の李迅雷研究所長が「微信(ウィーチャット)」の公式アカウントの中で、今年第1四半期に中国で新たに増えた失業者数は、既に7000万人を超えているとの推定数字を出した。その多くは農民工だという。失業率についても当局発表では6%前後だが、李所長は実際には20.5%に達していると指摘している。

 この文章は掲載直後に削除され、しかも李氏は研究所長を更迭されてしまった。いかに政府が失業問題に神経をとがらせているかが分かる。もちろん、生産再開によって職場復帰は進んでいこうが、元の状態に戻すには、相当の時間がかかろう。

 大学生の就職戦線も厳しい。今年の大学生新卒数は874万人で、昨年よりも約40万人多い。しかも新型コロナの発生で、貿易、映画・観光、自動車、金融など多くの分野で求人数は激減している。

 ある学生は今年1月から就職活動を開始したが、企業の採用試験が延び延びとなっている。ネットでの求人も登場してはいるが、企業数は少なく、この学生はいまだに内定をもらうことができないでいる。

 李克強首相は政府活動報告の中で、今年の重要課題のトップに就業問題を挙げた。だが、目標として掲げた都市部の新規就業数は、昨年実績よりも400万人余り少ない「900万人以上」だった。政府としては、これが精いっぱいの数字なのだろうが、新型コロナによって生じた大量の失業者と過去最大規模の大学卒業生の受け皿としては、明らかに少なすぎる。その差をどのようにして埋め合わせようとするのだろうか。

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