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「吉村知事グッズ」新たな大阪名物に? 八尾の企業が製造販売

 新型コロナウイルスの感染状況や対応策についての記者会見が連日のようにテレビのニュースなどで放送され、全国的にも知名度の高まった吉村洋文知事の肖像写真をあしらったTシャツやキーホルダーなどのグッズが6月から、大阪市内の土産店などに登場した。

 「吉村洋文グッズ」は、知事の人気を「新たな大阪名物」ととらえた八尾市の「ダイワトーイ」が企画。日常生活などから吉村知事の人気を実感した同社の山本和秀社長(62)が、「感染拡大で観光客が激減し、売り上げが大きく落ち込んでいる大阪の土産物業界を活気づけたい」と、グッズの企画を吉村知事の事務所に持ち込み、了承された。

 同社は鉄道グッズの製造販売が本業。従業員わずか6人の小さな会社だが、新幹線などの鉄道車両をデザインした箸「ハシ鉄」シリーズといったヒット商品がある。製品は、主に旅行客や観光客向けの土産物として、主要駅の売店などで販売されている。

 感染拡大で売り上げを落としたのは同社も同じだったが、不透明な先行きに不安を感じていた山本社長が吉村グッズのアイデアを思いついたのは3月。自宅で「吉村さん、テレビに出てる」という妻と娘の会話を耳にし、吉村知事が政治に興味がなさそうな女性たちにも「タレントのように人気がある」と感じたのがきっかけだった。

 商品化ができないかと、府庁や地元の八尾商工会議所に問い合わせ、最終的には4月になって、企画書を吉村事務所に提出。「疲弊した大阪の土産物業界を盛り上げたい」との思いを伝えたところ、肖像写真の使用を無償で認める承諾を得たという。完成した吉村グッズは、大阪・ミナミの土産店「いちびり庵」などで取り扱っている。

 鉄道グッズのノウハウを転用して商品化された吉村グッズは、缶バッジ(税別300円~)やマグカップ(同千円)、Tシャツ(同2千円)など。「ご時世」に合わせてマスク姿の吉村知事をあしらったデザインもある。「大阪らしく、遊び心も盛り込んだ」と山本社長はアピール。品目別の売れ行きは「Tシャツとマグカップの反応がいい」(山本社長)という。

 吉村グッズについては、「買ってみたい」との声がある一方、「特定の政治家をグッズにするのはどうか?」という否定的な意見もある。そんな中、「吉村グッズの売り上げだけでは、鉄道グッズの落ち込み分をカバーできない」と自社の業績について悩みが尽きない山本社長は「吉村さんの人気に便乗し、大阪商人のこけてもただではおきひん、と洒落(しゃれ)を利かせた話題性で大阪を活気づけることができれば」と前を向く。

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