国内

栃木県の農産物輸出8年ぶり減 新型コロナ、昨年の台風響く

 令和元年度の栃木県産農産物の輸出額は前年度比約16%減の3億1100万円となり、8年ぶりに前年度を下回ったことが県農政部のまとめでわかった。昨年10月の台風19号による被害や、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が影響した。

 品目別では、輸出額の半分近くを占める牛肉が13%減の1億4500万円。主な輸出先のシンガポール、米国、欧州諸国で多くのレストランが休業し、特に高級肉の需要が減退した。

 減少率が大きかったのはイチゴで、タイやシンガポールなどへの輸出が落ち込み、47%減の3300万円とほぼ半減。牛肉とイチゴの減少が全体に響いた。

 サツキなどの花卉(かき)は9%減の7200万円、コメは8%減の4200万円にとどまった。一方、旬が台風や新型コロナと重ならなかったナシは、14%増の1900万円と健闘した。

 輸出額は、東京電力福島第1原発事故後に各国が輸入を規制した平成23年度以降、7年連続で増加していた。

 県は今年の輸出額を4億円に引き上げる目標を、コロナ禍の前に立てている。県産牛肉の輸出拡大に関しては、米国やEUの衛生基準を満たす食肉センター(芳賀町)が4月に新設されたことが追い風となる。ただ、肝心の需要が回復する時期は見通せず、目標達成は不透明だ。(山沢義徳)

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