海外情勢

米消費サプライズ反発、小売5月前月比17.7%増 市場予想の2倍超

 米国経済は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)でリセッション(景気後退)入りしたが、5月の小売売上高は過去最大の増加率を記録し、コロナ前の消費支出に戻りつつあるとの希望的観測が浮上している。ただ鉱工業生産指数は予想ほど回復しておらず、人口の多いテキサスやフロリダなど複数州における新型コロナ感染者数の大幅増加で生じた新たな懸念とも相まって、楽観論を抑え込んでいる。

 伸び率は過去最大

 米商務省が16日発表した5月の小売売上高(速報値、季節調整済み)は、前月比17.7%増の4855億ドル(約52兆円)と、1992年の統計開始以降で最大の増加を記録。増加率は市場予想の2倍余りとなり、各州の許可の下、より多くの事業者が店舗を再開したことで、予想を超える回復ぶりを示した。3、4月の小売売上高は最大の減少率を2カ月連続で更新していた。

 小売売上高は5月に全てのカテゴリーで前月から改善し、自動車販売は44.1%増、飲食店は29.1%増となった。この2つだけで全体の増加の半分余りを占めた。

 新型コロナで数カ月間、自宅待機していた市民が、ロックダウン(都市封鎖)の緩和に伴い、外出し、店頭に現れるようになった。BMOキャピタルマーケッツのシニアエコノミスト、ジェニファー・リー氏は「人々が家を出て、店に行き、レストランを訪れ、外で飲食しているという事実は、米消費者を過小評価できないことを示している」と話す。

 ただ同時に、小売売上高は前年同月との比較で6.1%下回っており、今後数カ月間、小売業者が5月のような大幅増加を享受できるかどうかは不明だ。

 ムーディーズ・アナリティクスの金融政策調査責任者、ライアン・スイート氏によれば、5月の小売売上高の増加は政府の景気刺激策の成果である公算が大きく、立法者らがそうした措置を今後も延長していく必要がある根拠を示しているという。

 スイート氏は「景気刺激策はエコノミストの予想以上の威力があった。懐を温めればカネを使う」と指摘。ただ、小売支出の水準は新型コロナ危機前を大幅に下回ったままである点に目を向けることも重要だと警告している。

 一方、5月の米雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比で250万人増加と予想外の改善となったが、引き続き数千万人が失業保険を受給しており、製造業など米経済の一部の回復は緩やかなペースとなりそうだ。

 鉱工業生産届かず

 米連邦準備制度理事会(FRB)が16日発表した5月の鉱工業生産指数は、過去最大の下げとなった前月から持ち直したものの、市場予想には届かず、新型コロナの影響による経済活動の低下が引き続き需要を抑制し、製造業の改善を緩やかにしていることを裏付けた。総合指数は前月比1.4%上昇、市場予想(中央値)は3%上昇だった。

 ブルームバーグのエコノミスト、イリーナ・シュリエティバ、エリザ・ウィンガー、アンドルー・ハスビーの各氏は「今年下半期に景気刺激策の支援効果が薄れると、活動が以前の景気拡大期に見られたトレンドに戻るのにある程度時間がかかる公算が大きい。新型コロナ感染者数の増加に伴い、複数州でロックダウン措置が再び導入され、年内に消費者信頼感の重しとなる可能性がある。結果として、貯蓄率が上昇し、5月に記録したような急反発は年内は制限されるだろう」と分析している。(ブルームバーグ Katia Dmitrieva、Olivia Rockeman)

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