首相会見全文(4)

イージス・アショア「このまま進めるわけにいかない」

=(3)から続く

 「新たな目標を作り上げるにあたって、さまざまな障害を一つ一つ取り除いていく考えです。そして『ポストコロナ』の新しい日本の建設に着手すべきは今やるしかないと考えています。パンデミック(世界的大流行)の脅威は、かねてから指摘されてきたことです。しかし、わが国の備えは十分であったとはいえません。テレワークなどの重要性も長年指摘されながらまったく進んでこなかった。そのことは事実であります。『治に居て乱を忘れず』。今回の感染症の危機によって示された最大の教訓ではないでしょうか」

 「自民党は憲法改正に向けて緊急事態条項を含む4つの項目について、すでに改正条文のたたき台をお示ししています。緊急事態への備えとして、わが党の案にさまざまなご意見があることも承知しています。各党各会派の皆さんのご意見を伺いながら、進化させていきたい。建設的な議論や協議を自民党は歓迎します。しかし、国会の憲法審査会における条文案をめぐる議論は、残念ながら、今国会においても全く進みませんでした。今、目の前にある課題を決して先送りすることなく解決していく。これは私たち政治家の責任です」

 「今週、(地上配備型迎撃システム)イージス・アショアについて配備のプロセスを停止する決定をいたしました。地元の皆さまにご説明してきた前提が違っていた以上、このまま進めるわけにはいかない。そう判断いたしました。他方、わが国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。その現状には全く変わりはありません。朝鮮半島では今、緊迫度が高まっています。弾道ミサイルの脅威から、国民の命、平和な暮らしを守り抜いていく。これは政府の最も重い責任であります。わが国の防衛に空白を生むことはあってはなりません。平和は人から与えられるものではなく、われわれ自身の手で勝ち取るものであります。安全保障政策の根幹は、わが国自身の努力にほかなりません。抑止力や対処力を強化するために何をすべきか。日本を守り抜いていくためにわれわれは何をすべきか。安全保障戦略のありようについてこの夏、国家安全保障会議で徹底的に議論し、新しい方向性をしっかりと打ち出し、速やかに実行に移していきたいと。そう考えています。私からは以上です」

=(5)へ続く

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