首相会見全文(10)

敵基地攻撃能力の議論「閉じ籠っていいのか」

=(9)から続く

--安保戦略について。自民党内などでは敵基地攻撃能力の保有を求める声も出ている

 「当然この議論をしてまいりますが、現行憲法の範囲内で、専守防衛という考え方のもと議論を行っていくわけでありますが、例えば相手の能力がどんどん上がっていく中で、今までの議論の中に閉じ籠もっていていいのかという考え方のもとに自民党の国防部会等から提案を出されています。われわれもそういうものも含めていかなければいけないと考えているんです。先ほど申し上げました、抑止力とは何かということを、私たちはしっかりと突き詰めて、時間はありませんが考えていかなければならないと思っています。そういう意味において政府においても新たな議論をしていきたいと思っています」

--今年度の歳出は160兆円を超え、主要国最悪レベルの債務残高はますます悪化する。国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の令和7年度の黒字化目標は維持するのか

 「まずですね、安倍政権発足以来申し上げてきたことではありますが、大切なことは何かといえば、デフレを脱却をして経済を力強く成長させていくということであります。デフレを脱却して、経済を成長させなければ、財政健全化はできないというのは基本的な考え方で政策を進めてきました。その結果、われわれは財政健全化に向けて歩みを進めてきたと思います。デフレについてはもう既にデフレではないという状況を作り出すことができた。デフレ下では財政健全化は大変難しいですからね。デフレではないという状況を作り出すことができた。そして経済を成長させることによって税収は相当増えてきました。そのことによって財政を健全化してきたと考えています」

 「そしてこの危機にあたって、財政健全化最優先で考えるべきではないわけでありまして。まずはこの危機を乗り越えて経済を成長軌道に戻さなければいけない。それを優先するのは当然のことであろうと思います。そして、就職氷河期という言葉があります。そのときの皆さんに対する対策も進めていきますが、今回われわれの政策を進めていくことの根幹にあるのは、やはり政治の最大の経済における責任は雇用を作っていくということであります。その意味におきましては今年の4月、たくさんの学生の内定が取り消されるのではないかといわれておりましたが、就職率は過去最高の水準を守ることができた。経済界の皆さまにも大変ご協力をいただきましたが、われわれはしっかりと雇用を進めていくという政策の結果でも、雇用を守っていくという政策を進めてきた。その結果でもあろうと」

 「しかし、これからが正念場でございます。しっかりと雇用を作っていく。経済を守っていく。事業を継続していただく。これに全力を傾けていきたい。そして経済をV字回復させていきたいと思っています。ただもちろんですね、債務残高がどれだけ増えても問題がないというわけではありません。引き続き、信任が損なわれ、リスクが顕在化するといった事態を招くことがないように、事態が収束した後には、デフレ脱却と経済成長への道筋を確かなものとすると同時に歳出歳入両面の改革を続けることによって、財政健全化もしっかりと進めていく考えであります」

=(11)へ続く

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus