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AI利用で動物実験9割減に 経産省が化学物質の安全評価技術開発へ

 人工知能(AI)を活用した化学物質の安全性評価技術の開発を進める経済産業省プロジェクトチームが、国内の動物実験の数を約10年後には9割減らせると試算したことが分かった。新たに開発した物質が人体や環境に悪影響がないかどうかを、動物実験を行わずに効率良く調べることを目指す。

 動物実験は多額の費用と時間を要するだけでなく、欧米や愛護団体から批判も強い。新たな評価技術は開発コストの削減や動物福祉の向上につながると期待されている。

 経産省によると、評価技術の開発は2017~21年度の5年計画で、東京大や産業技術総合研究所など9機関が参加した。

 ラットや人の細胞、ラット自体を使って化学物質の吸収や代謝などのデータを収集。細胞や遺伝子への影響を調べて生体メカニズムを解析する。得られた結果を、研究機関や企業が持つ化学物質情報や過去の動物実験結果とともにAIに学習させて毒性の予測モデルを構築。動物実験をせずに安全性が評価できるようにする。

 毒性の影響を受けやすい肝臓用のモデルを試作中で、20年度は腎臓と血液に拡大する。将来全身に対応できれば、事業終了から10年後の31年度には動物実験を17年度比で9割減らせるとしている。コスト削減により、新規化学物質の届け出も現状の年間600件前後から1000件ほどに増加すると見込んでいる。

 新規の工業向け化学物質を市販する場合、健康や生態系への影響を調べるため、化学物質審査規制法に基づく安全性評価が必要。各メーカーは1物質を届け出るまでに平均10種類の類似物質で実験しており、安全性評価のためのコストは研究開発費の約2割を占める。

 経産省化学物質リスク評価室の金地隆志企画官は「企業や審査機関が受け入れるレベルまで予測精度を高め、日本企業の国際競争力の向上につなげたい」と話している。

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