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再エネ注力のタイ、優先対処すべき課題は

 タイは、東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でも、再生可能エネルギーへの投資を積極的に進めている国の一つである。経済成長に伴う旺盛な電力需要は化石燃料により支えられてきたが、深刻な大気汚染や国内天然資源の枯渇を背景に、環境負荷の低い国産エネルギーである再エネへの大幅なシフトが進められている。

 政府は、2015年に掲げたエネルギー政策において、発電量に占める再エネの割合を15年の7%から36年に20%へ引き上げる方針を示した。再エネで発電された電力を固定価格で買い取る制度の導入や、環境負荷軽減投資への免税策の実施などにより、独立系発電事業者や中小規模発電事業者(SPP・VSPP)の事業参入も積極的に促している。方針策定からわずか3年後の18年現在で、豊富な農業資源を生かしたバイオマス発電を筆頭に、再エネ比率は5ポイント増の12%まで上昇した。

 このような中小規模発電所の増加により課題となるのは、送電網の整備である。送電網はこれまで化石燃料を動力源とする大規模発電所から各需要家に向けた電力供給を念頭に整備されてきた。しかし今後は、中小規模発電所から各需要家に供給するためのより柔軟性の高い送電網の整備が必要となる。

 再エネは、環境負荷低減や国産エネ拡大という観点では優れているが、政策的支援や送電網の追加設備投資などコスト負担が重くのしかかる。足元は、新型コロナウイルスの感染拡大により経済活動が急速に減速しており、経済性を優先したい一方で、国家安全保障の観点からエネルギーの自給率向上に再度注目が集まっている。今後のエネルギー政策において何を優先していくべきか、慎重な判断が求められる。(編集協力=日本政策投資銀行)

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