海外情勢

米、中国企業排除を強化 保安検査も、欧州に要請

 【ワシントン=黒瀬悦成】米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は28日、トランプ米政権が欧州諸国に対し、中国共産党体制の影響下にある保安検査装置製造大手「同方威視技術(ニュークテック)」の製品を採用しないよう要請していると伝えた。

 トランプ政権は、第5世代(5G)移動通信システム分野で躍進が目立つ中国通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」に関しても、欧州諸国に対して自国のネットワークから排除するよう要請しており、中国によるハイテク覇権確立の阻止に向けて欧州との連携を強化したい考えだ。

 ニュークテックは、空港や港湾、国交検問所での貨物や荷物、旅行者の保安検査装置を欧州諸国に低価格で納入し、急速にシェアを拡大している。

 米政府は、ニュークテックなどの中国保安検査機器メーカーが傘下のネットワークを介して企業・個人情報を盗み取る恐れがあると指摘。同紙が確認した国務省の文書はニュークテックがこうした情報を中国当局に提供する可能性があると指摘したとしている。

 米当局は空港でのニュークテック製品の使用を禁止し、港湾の貨物検査でも中国のシステムを採用していないという。

 一方、フィンランドの税関は今月、ロシア国境での貨物検査でニュークテックの製品採用を決定した。米国が反対したものの、同社以外の入札企業がなかったためとしている。

 ニュークテックは同紙に対し、同社の経営は中国政府から独立しているとし、「集めたデータは顧客が保有するので安全上のリスクはない」と強調した。

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