海外情勢

石炭火力、コロナで対応が二分 気候変動の戦いの鍵を握る「アジア」 (1/2ページ)

 昨年12月の第25回気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)に際し議論を呼んだ石炭火力発電をめぐる欧米とアジアの対応が、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を契機に二極分化してきた。欧米では、新型コロナによる工場の稼働停止や外出自粛で電力需要が減少したことを好機と捉え、石炭火力発電所を相次ぎ閉鎖するなど、脱炭素に向けた動きを加速している。これに対し、中国やインドなどでは石炭価格が値下がりしていることなどを背景に、大幅に拡大する計画だ。

 価格下落で好対照

 新型コロナ危機を背景に米国の石炭事業は深刻な打撃を受けている。外出自粛などによる電力需要の低迷に伴い、電力会社が最初に石炭火力発電所を閉鎖し、国内の石炭消費が減少したためだ。これまで鉱山労働者の収入は海外への輸出によって支えられてきたが、世界的な石炭価格の下落が発電用石炭と冶金(やきん)用石炭双方の輸出の収益性を押し下げている。

 脱石炭への取り組みで世界をリードする欧州も同様の状況にある。5月の欧州の石炭価格は、石炭会社の破綻が相次いだ2016年以来の低水準に落ち込んだ。英国では4月9日以降、石炭を使用した発電を行っておらず、同国で初の石炭火力発電所が稼働を開始した1882年以降での最長記録を達成した。

 ポーランドとチェコでは石炭火力発電の拡張計画を取りやめたほか、オーストリアとスウェーデンではパンデミック中に国内最後の石炭火力発電所が閉鎖された。欧州内で石炭依存度の高いドイツでも、1~5月の発電量全体に占める石炭火力の割合は昨年の31%から約20%にまで低下した。

 こうした欧米各国の動きとは対照的に、中国などのアジア地域では脱炭素の潮流に逆行した動きが進んでいる。世界の他の地域での石炭需要が減少するのに対し、アジアでの需要は依然として底堅いからだ。

 アジアでの需要は今後10年間の世界全体の需要を押し上げる見通しだ。英調査会社IHSマークイットは世界の石炭需要に占めるアジアの割合が現在の約77%から30年までに約81%前後に上昇すると予測している。

 世界の石炭消費量の約半分を占める中国では、石炭は経済発展を支える重要な要素だ。石炭採掘や洗炭は約350万人の雇用を創出しているほか、世界最大のエネルギー消費国である同国の消費者に豊富なエネルギーを供給している。

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