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路線価 静岡県では12年連続下落 駅前や再開発地域は上昇、二極化進む  

 国税庁が1日に公開した静岡県内の令和2年の路線価(1月1日現在、1平方メートル当たり)によると、標準宅地の平均変動率は前年比でマイナス0・4%となり、12年連続で下落した。下落幅は前年の0・6%から0・2ポイント縮小した。まだ新型コロナウイルスの影響が反映されていないため、政府の経済対策による企業業績や雇用の回復基調に伴い、下落幅が縮小したとみられる。

 新型コロナによる経済停滞が今後の地価に与える影響について、不動産鑑定士は「土地の立地や用途によって異なる影響が出てくると考えられ、不透明感が非常に強い。東日本大震災などと比べても底が見えない。今後の地価動向を注視していく」と話していた。

 県内の最高路線価は41年連続で静岡市葵区紺屋町の「紺屋町名店街呉服町通り」となり、121万円だった。最高路線価地点に代表される駅前や人通りが多い地域、再開発や区画整理が順調に進む地域、利便性のいい地域の路線価は上昇傾向にある一方で、人口減少が進む地域や沿岸部を抱える地域では下落しており、全体として二極化が進んでいる。

 県内13税務署の管内別最高路線価は、前年と同数の6署(熱海、静岡、清水、浜松西、浜松東、藤枝)で上昇した。残る7署は横ばいで、下落したところはなかった。

 対前年変動率が8・5%と県内トップだった熱海では、景気回復に伴い宿泊客が戻ってきたことが路線価を押し上げた。日帰り温泉施設の充実や新名物のスイーツ開発などで従来の客層である中高年のみならず10~20代の若年層にアピールした。インバウンドに頼らず国内旅行者が主なターゲットとしており、他地域に比べれば新型コロナの影響を受けにくいとされる。

 対前年変動率が3・4%と県内2位だった藤枝では駅前再開発によって商業施設やホテル、マンションが完成し集客力が向上したことが好感された。前年の横ばいから上昇に転じた清水では、JR草薙駅周辺整備の進展が評価された。

 路線価は相続税や贈与税の算定基準となるもので、県内の平均変動率は約9千地点の標準宅地の評価基準額を基に算出した。

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