海外情勢

中国発の動画アプリ「TikTok」が香港から撤退

 【北京=三塚聖平、ワシントン=黒瀬悦成】中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」が11日までに香港から撤退した。米ブルームバーグ通信が報じた。先月末に香港国家安全維持法(国安法)が施行されたことを受け、香港で当局から捜査協力を求められることを避ける狙いとみられる。ティックトックをめぐっては、米国などで排除の動きが出るなど逆風が吹いている。

 ティックトックは、中国に本部を置く北京字節跳動科技(バイトダンス)が運営。香港紙の明報(電子版)によると、同社は「香港で起きた出来事に対応する」ため撤退の方針を表明していた。

 国安法違反容疑の捜査に関する実施細則では、インターネット事業者に対し、国家の安全に危害を加える情報の削除やアクセス制限などを要求できると明記した。中国企業のバイトダンスが要請を拒むのは難しいとみられるが、応じれば世界で批判される。それを避けるため香港撤退を自ら選んだと指摘される。

 同社は、2016年に中国でアプリ「抖音(ドウイン)」の提供を始めた。ティックトックはその海外版だ。米調査会社センサータワーによると、今年1~6月にダウンロードされたアプリの世界ランキングでは国内・海外版の計6億2600万回で首位だった。両アプリはそれぞれ別個に展開しており、サービス内容は異なる。世界で利用者を伸ばす中で、海外版では中国色を薄めようとしているという見方もある。

 しかし、トランプ米政権は中国アプリについて、中国政府が世界中からデータを収集するための「諜報活動の道具」とみる。ポンペオ国務長官は6日、FOXニュースの番組に出演し、ティックトックを含む中国企業が運営するソーシャルメディアのアプリについて「安全上の理由で米国内で使用禁止にすることを検討している」と明かした。

 連邦捜査局(FBI)のレイ長官も7日、政策研究機関「ハドソン研究所」での講演で「あなたが成人の米国民なら、中国によって個人情報を既に盗まれている可能性は、盗まれていない可能性よりも高い」と警告した。

 米国以外では、インドがティックトックを含む59種類の中国製アプリを使用禁止にしたほか、オーストラリアも同様の措置を検討中と伝えられている。

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