海外情勢

市場にバイデン米大統領待望論 政策安定は「経済にもプラス」の論調相次ぐ

 11月の米大統領選を前に、共和党寄りの南部サンベルト地帯と内陸州で新型コロナウイルスの感染が急増し、トランプ大統領への支持率が低下している。これと背中合わせに民主党のバイデン前副大統領の存在感が拡大。金融市場では政権交代に伴う経済政策への関心が急速な高まりを見せている。

 トランプ氏の支持率低下の背景には、大統領が新型コロナやマスクの話をやめ、経済活動再開にほぼ集中する危険な賭けに出たことがあり、これまでのところそれは裏目に出ているようだ。トランプ氏が再選に向け死守しなければならないアリゾナ州とフロリダ州では特に新規感染者数が爆発的に増加している。

 トランプ氏支持低下

 ピュー・リサーチ・センターの世論調査によると、人口10万人当たりの新型コロナ死者数が28人超の500郡ではトランプ氏の支持率が最も激しく低下している。ピューの3月下旬の調査での大統領支持者のうち17%が、6月下旬の再調査では不支持に転じた。

 さらに、65歳以上の高齢者が新型コロナから最も深刻な打撃を受ける中、一般的に保守的な傾向があり、過去にトランプ氏を支えてきた年配の有権者らが不支持に回っている。

 6月8~18日にニューヨーク・タイムズ紙とシエナ大学が実施した世論調査によると、主要な激戦州6州では、トランプ氏は民主党の大統領選候補指名を確実にしたバイデン前副大統領に対し、65歳以上の有権者の支持率で6ポイント下回った。アリゾナ、フロリダ、ノースカロライナ、ウィスコンシン、ミシガン、ペンシルベニアの6州の高齢者でトランプ大統領による新型コロナ感染対策を支持しないと答えたのは52%に上った。

 こうした中、金融市場では多くの投資家がバイデン氏勝利のシナリオに関心を示している。

 コンパス・ポイントの政策調査担当マネジングディレクター、アイザック・ボルタンスキー氏はリポートで、政府の景気対策4弾の合意が8月初めまでに成立するともみており、同17日の民主党全国大会、24日の共和党全国党大会の開始が11月3日の大統領選に向けたレースの号砲になると注意を促した。

 増税幅も予想以下

 一方、バイタル・ナレッジの創業者、アダム・クリサフルリ氏はリポートで、6日に米国株が上昇した一因として「バイデン氏は市場にとってさほど悪くないとの見方があったようだ。同氏が株式にとって中立(場合によっては予想外のプラス)と見なされる事例が出てきている」と指摘。同氏の増税は恐れていたほどではなく、通商政策が混乱を招くことも減り、無意味なツイートが激減する可能性に言及した。

 ドゥブラフコ・ラコス・ブハス、マルコ・コラノビッチ両氏らJPモルガン・チェースのストラテジストも「金融業界はバイデン氏勝利に悲観的になり過ぎている」と主張。インフラ支出や関税をめぐる姿勢軟化、賃金上昇で好影響を受ける可能性に触れたほか、S&P500種企業の収益に対する税金面の影響も多くの予想を下回るのではないかと分析している。

 民主党躍進の市場への影響が比較的穏やかになりそうだとの見解は、その他にも示されている。連邦政府の政策決定を長年追跡しているスコウクロフト・グループの専門家らは先月、バイデン大統領誕生の可能性を投資家は懸念しなくていいとの見解を表明。バイデン氏は貿易に関し、トランプ大統領よりも混乱の少ないアプローチを取るかもしれないと予想した。(ブルームバーグ Felice Maranz、Mike Dorning)

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