専欄

来年、創立百年 中国共産党はどう変わったか 

 元滋賀県立大学教授・荒井利明

 7月1日は中国共産党の創立記念日だった。来年、創立百年を迎えるが、党中央組織部は毎年、創立記念日に先立って、前年末における党員総数や性別・職業別などの党員構成を公表する。そのデータを基に、習近平時代に党がどのように変化したかをみてみよう。

 大きな変化の一つは、「量よりも質」の重視である。習近平時代の前の胡錦濤時代の10年間に党員は約1624万人も増えた。だが、習近平時代の過去7年間(2013~19年)に増えた党員は約679万人である。

 12年秋に党の最高指導者となった習近平は、厳しい反腐敗キャンペーンを続ける一方、党員の「質」を重視し、毎年の党員増加率を1.5%に抑える方針を打ち出した。胡錦濤時代、特にその後半の5年間の党員増加率は2.4~3.1%と高かった。

 新規入党者が増えれば、間違いなく「質」が落ちる。それは腐敗や不合格党員の増加につながる。習近平時代の党員増加率は、13年こそ1.8%だったが、その後は1.5%以下で、17年はわずか0.1%だった。

 「質」重視による新規入党者の抑制は、比較的若い党員の割合の低下をもたらしている。12年末に25.6%だった35歳以下の党員は、19年末には24.2%に減少している。新規入党者は一般に若者が多いからである。

 党員総数は18年に9000万人を超え、19年末には9191万人に増えた。党機関紙「人民日報」(7月1日付)は、党の末端組織において、党員としての自覚に欠け、模範的な役割を果たせていない党員がいることを解決すべき課題として指摘している。

 膨大な数の党員全員が合格党員であるはずがない。中国の政治学者の中には、約5000万人が適正規模との見解もある。

 もう一つの特徴は、女性党員と高学歴党員の割合が確実に上昇していることである。12年末に23.8%だった女性党員は19年末には27.9%にまで増えた。とはいえ、3割にも満たない。党のヒエラルキーを上るにつれ、女性の割合は低下し、トップ7人はみな男性である。中国で女性の最高指導者が出現するのは、日本よりも遅いかもしれない。

 大卒(短大を含む)以上の高学歴の党員は19年末に初めて5割を超えて50.7%になった。12年末は40.0%だった。今世紀になって中国社会は急速に高学歴化しており、党員の高学歴化も必然だが、党員の高学歴化が社会全体よりもかなり進んでいるのは間違いない。(敬称略)

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