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コロナと国土強靱化…焦点2つの骨太で危機乗り越えられるか

 経済財政運営の指針「骨太方針」では新型コロナウイルス禍で遅れが浮き彫りになったデジタル化の加速と並び、国土強靭(きょうじん)化が突然、前面に躍り出た。相次ぐ豪雨被害もあり、防災の重要性は論をまたないが、骨太の焦点はぼやけた。

 「頻発化、激甚化する豪雨被害、災害から国民の皆さんの命を守る」。西村康稔経済再生担当相は17日、記者会見でこう強調した。

 だが実際は“外圧”で盛り込まされた内容だ。8日公表の骨太原案では国土強靭化に関する記述が昨年の骨太の引き写しだと判明。与党の強い反発の結果、一転して防災の強化を「国の重大な責務」とうたいあげることになったからだ。こうしたご都合主義は、骨太が予算編成のための政策リストに過ぎないことを鮮明にした。

 骨太は将来の日本の在り方を示し、政策の柱を書き込むのが狙いだ。今回の骨太では、押印の慣行見直しなど改革に向け、前進した分野もある。ただ、コロナ後に日本がどう成長していくかというビジョン(展望)は乏しい。

 政府は感染拡大の対応と社会経済活動を両立させた「新たな日常」を掲げる。その原動力と位置付けるのがデジタル化だが、第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストは「デジタル政府の実現をはじめ過去の焼き直し。同じ政策が並ぶのは改革が停滞している証拠だ」と指摘する。

 一方、財政健全化の記載は例年より大幅に減った。財政規律が大きく悪化する中で今後も追加経済対策は避けられず、せめて“賢い支出”につながるよう選択と集中を進めるべきだった。未曽有の危機下ですら業界団体や与党議員の意をくむ総花的なものしか作れないなら、骨太の制度自体にも疑義が生じかねない。

 (林修太郎)

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