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技能実習生増加 周知と待遇に課題

 技能実習生とは、日本で企業などと雇用関係を結び出身国で困難な技能習得を図る制度である。以前は中国人が多かったが、2019年にはベトナム人が全体約37万人の半分を占めた。コンビニや外食で見かけるベトナム人留学生と比べ、社会と接することの少ない隠れた存在だが、急速に浸透している。

 23%が建築関係

 外国人技能実習機構の認定件数(18年度)から職種別に見ると、ベトナム人実習生の23%が建設関係だ。とび職約1万5000人のほか、建設機械施工、型枠施工、鉄筋施工で各5000人など、5万人近いベトナム人が日本全国の現場で働いている。そして食品製造21%、機械金属19%、農業8%、繊維衣服6%と続き、幅広い産業でベトナム人が担い手となっている。

 一方、多くの課題があるのが周知の制度である。同機構母国語別相談件数(18年、総数約2700件)でベトナム語は57%と過半数を占め、内容は「賃金・時間外労働などの労働条件」(20%)、「不適切な管理」(17%)、「技能実習制度」(12%)、「途中帰国」(11%)、「実習先変更」(10%)など、待遇課題が浮かび上がる。いわゆる「ブラック企業」からの失踪など、不幸なニュースは後を絶たない。

 「特定」職種拡大へ

 最大5年の在留期間では成果を十分に“収穫”できないという声もある。実習生、企業の双方が緩和を望み、人手不足を受けて昨年、特定技能ビザが開始され、実習後5年以上の滞在延長が可能となった。開始から約1年、同制度の活用者(入国統計)はベトナムが1753人と突出し、インドネシア400人、中国185人、タイ77人と続く。同制度を利用する計約2500人は技能実習生約37万人と比べて2桁少なく、試運転段階といえる。建設関係約20職種で特定技能へ移行可能なのは半分以下で、残りの職種は実習後に帰国せざるを得ない。

 こうした状況はもったいないとして、育てた実習生の継続活用をベトナム進出目的に挙げる企業が過去数年で増えた。ベトナム法人という受け皿をつくり、双方の人材を回転・活性化していく狙いである。もちろん日本市場の成長鈍化なども総合的に考えてのことだが、人事の思惑が先立つと市場環境検討に入って事業計画が二転三転するなど、迷走につながりやすい点には注意が必要である。

 今後は、産業界の期待に応えるため特定技能職種の拡大が進むだろう。日本の12地方紙が32カ国・地域の305人に行った調査では、実習生も7割が特定技能への切り替えを望んでいる。政府目標は5年間で35万人と、現在の技能実習生と同規模となっている。その半分以上を占めることになれば、日本で働くベトナム人総数は50万人以上となっていくことが想像される。単純作業での搾取という段階は脱し、日本人以外で最大の根幹人材群と位置付ける必要があるだろう。その内容を描くのはこれからである。

 B&Company株式会社:日系で初・唯一のベトナム市場調査専門企業。消費者や業界へのアンケート・インタビュー調査と参入戦略を得意分野としている。b-company.jp

 「ASEAN経済通信」https://www.asean-economy.com

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