海外情勢

中国で再エネ補助金が不足 事業数急増で未払い深刻に (1/2ページ)

 中国で再生可能エネルギーに対する補助金未払い問題が深刻化している。同国は世界一の風力、太陽光発電大国を築くために膨大な補助金を拠出してきたが、過去10年間に給付対象のプロジェクト数が急増し、補助金需要が予算を上回るペースで膨らんだ。ここ数年は満額を支払えない状態が続き、政策に変更がなければ未払い債務は2032年までに1510億ドル(約16兆円)に達する可能性がある。

 初期段階は需要創出

 初期段階での補助金は太陽光パネルや風力タービンの需要創出に役立ち、製造メーカーはスケールメリットを追求できた。その好循環のおかげで、風力、太陽光発電は今や、世界の多くの場所で化石燃料発電より安くなった。

 交銀国際のアナリスト、ルイス・サン氏は「中国の補助金がなければ、再生エネ業界は価格面で今日、石炭火力発電と肩を並べるようにはなっていなかっただろう」と話す。

 中国政府は新規プロジェクトについて、再生エネ会社に主流の石炭火力と価格だけで競争するよう迫っている。中国国有の送電会社、中国国家電網(SGCC)のデータによると、同国は07年以降、太陽光発電の電力の補助金込みの指標価格を91%下げている。

 ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)によれば、中国の再生エネ部門に流入した資金は過去10年間で8180億ドルと、他の国の倍以上に上る。国家能源局のデータからは、今年3月末現在の再生エネの発電容量が約421ギガワットと13年から4倍以上に増えたことが分かる。

 予算引き上げ

 半面、補助金の遅延問題で開発事業者の株価が下落し、資金調達に支障が出たことから、事業者には株式非公開化や資産売却の動きが相次いでいる。

 中国最大手の風力電力会社、龍源電力集団は昨年、補助金の未収残高が180億元(約2760億円)超に急増し、株価が急落。「未収補助金が膨らんだせいで現在の株価は簿価を下回っている」(招商証券国際のアナリスト、肖羅賓氏)。

 龍源電力や他の中国の再生エネ会社の株価の評価の低さは、株式を発行して新規プロジェクトの資金を調達するうえで妨げになっていると肖氏は指摘。その結果、香港証券取引所上場株式の非公開化に拍車をかけている。

 また、GCLニュー・エナジー(協●新能源、●=晶の三つの日を金に)など他の民間会社は、債務削減に向けて再生エネの資産売却という手段に出ている。BNEFのアナリスト、ジョナサン・ルアン氏によると、低コストの資本を容易に入手できる国有開発会社がそうしたプロジェクトに飛びついているという。

 中国では少なくとも06年以降、政府が20年の間電力を買い取る形で再生エネ向けの補助金を導入。開発事業者や銀行が長期スパンで投資を回収する上での確実性を担保していただけに、未払い補助金は懸案事項となっている。

 中国財務省は20年度の再生エネの補助金予算を前年度比7.5%増の923億6000万元に引き上げた。だがBNEFのルアン氏によれば、それでもまだ、すでに補助金の対象となっているプロジェクトが今年単年度で必要な2423億元にはるかに届かない。

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