海外情勢

台湾が狙う香港の地位 「アジアの金融拠点」目指し脱出企業誘致

 中国による香港国家安全維持法(国安法)制定を受け、香港を拠点とする企業やビジネスマンの間に、同地からの移転を検討する動きが広がっている。こうした中、台湾は新たなアジアの金融拠点の座を目指し、金融機関の誘致活動を本格化する計画だ。

 台湾の金融監督行政トップ、黄天牧・金融監督管理委員会(金管会)主任委員がインタビューに応じ、国際的に活動する金融機関が台湾での事業拡大に目を向けつつあるとの認識を示すとともに、金融機関の誘致に意欲を見せた。

 5月に現職に就任した黄氏は、一部の米証券会社が台湾での事業拡大を検討しているほか、国際的に活動する他の金融機関は新たな業務開始を計画していると説明した。

 規制緩和急ぐ

 黄氏は「どこかの代替となるつもりはないが、それはわれわれに野心がないという意味ではない。香港だけでなく、それ以外のアジアの人材や資本にもアピールしたい」と述べた。

 金管会によると、台湾での資産が多い外資系金融機関は米国のシティグループや英国のスタンダードチャータード、HSBCなどだ。

 香港は現在、国際金融センターの地位を守るため、シンガポールや上海、東京などとの激しい競争にさらされている。台湾は多数の金融のプロが香港を脱出する可能性があるとみて、域内経済の活性化につなげたい考えだ。今月には台湾移住を望む香港市民を受け入れる専門窓口を開設した。

 黄氏によると、台湾は競争力を高めるために複数の規制緩和に乗り出す。また、域内の金融規制を国際基準に合わせ、海外投資を呼び込む考えだ。黄氏の話では、金管会は現在、年内にハイテク新興企業と小型株向けの取引所を開設した時点で重複上場する選択肢について米ナスダックと協議を行っている。また、金管会は退職後の資産管理ツールやリバースモーゲージなど、低金利に対応した商品の取り扱いも金融機関に認める方針という。

 「従来通り」強調

 こうした動きに香港当局は危機感を募らせている。香港の陳茂波財政官は19日、金融機関を安心させようと、国安法が当該機関の事業遂行能力や資本配分、証券取引に影響を及ぼさないと強調した。さらに証券会社や銀行、保険会社の懸念を和らげるために自身のメッセージを伝えるよう規制当局に要請。公式ブログで「金融業界が香港の既存の法律の枠組みの下で、通常の事業を継続する限り、従来通りの事業が続く」と強調した。(ブルームバーグ Miaojung Lin)

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