海外情勢

対米激化を予見か 中国企業が米ハイテク株市場に“急進的”上場

 中国の習近平国家主席が2018年後半に始めた本土株式市場の制約を減らし、国内で育ったハイテク企業が大挙して米国を上場先として選ぶことを阻止する計画は、現在の米中対立激化を予見したかのようだ。

 1年前に取引が始まった上海証券取引所の「科創板(STAR)」でそうした改革が具体化。他の主要株式市場と比べれば、スケールという点での目標は控えめだが、上場手続きを最低限に減らし、上場できる企業の種類や値幅制限を緩和するなど、これまでの中国の基準と照らし合わせれば急進的だった。科創板にはここ1年で130社余りが上場し、合わせて300億ドル(約3兆1700億円)を集めた。

 7月に入り中国の半導体受託生産会社、中芯国際集成電路製造(SMIC)が科創板に上場。アリババグループ傘下の金融会社アント・グループも科創板と香港に同時上場する計画だ。

 当局者によれば、同じようなルールの緩和が近く、科創板よりずっと規模の大きい深セン証券取引所のスタートアップ向け市場「創業板(チャイネクスト)」にも適用される見込みで、9兆3000億ドル規模に上る中国株式市場全体の改革に向けた舞台が整うことになる。

 中国のハイテク大手はこれまで多くが資金集めを国外の資本市場に頼っていたが、SMICは先々週、上海で532億元(約8030億円)を調達。米ナスダックではなく上海と香港で新規株式公開(IPO)を行うモバイル決済のアントは2000億ドルを超える企業価値があると評価されることを目指している。

 米中間の対立が激化する中で、中国のハイテク企業を米中関係の悪化に左右されないようにする必要性も高まっている。米上院は中国企業を米国の証券取引所から締め出す法案を可決し、香港国家安全維持法の施行で香港の自由度が低下し、米中間の溝は深まるばかりだ。

 上海ペガサス・コンサルティングのゼネラルマネジャー、ワン・チユエ氏は「米国に喉を絞められないようするため、技術革新的な企業の発展を支える資本市場を中国は必要としている。それが戦略的な目標になる」と指摘した。(ブルームバーグ Richard Frost、Amanda Wang)

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