海外情勢

中国富裕層が国内にシフト 海外より便利・快適、高級品に勢い (1/2ページ)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、高級品市場の牽引(けんいん)役を担う中国人富裕層の消費動向に変化が生じている。以前は海外旅行先での購入が主流だったが、現在では移動制限などの影響により国内消費へシフトしている。

 ブランドは戦略再考

 中国人富裕層は世界の高級品売り上げの3分の1を占め、そのほとんどが国外での消費だった。米ベイン・アンド・カンパニーによると、コロナ危機前は中国人による高級品支出のうち海外での購入が3分の2を占めたという。

 通常は休暇を待って海外旅行で購入するか、欧米で商品を買い付け、中国に持ち帰って販売する「代購」と呼ばれる再販業者を通じて購入していた。だが、感染症流行で移動が制限され、代講業者の調達網にも混乱が生じている今、高級品を買い求める消費者は中国国内にとどまっている。

 新型コロナで西欧諸国における中国人差別が強まり、中国政府が国内消費促進を優先させていることなどの理由からも、中国人客の購買パターンは危機収束後も元に戻らない可能性が高い。ベインが5月に発表した予想によると、2025年までに中国人による高級品購入の半分以上は中国国内でとなる見通しだ。

 中国では感染の大部分を封じ込めており、消費も回復し始めている。ボストン・コンサルティング・グループによると、今年の世界の高級品市場は45%落ち込む一方、中国の高級品市場は10%拡大すると予想される。

 こうした状況を踏まえ、高級ブランド各社は中国からの海外旅行客頼みとする事業戦略の見直しを迫られている。フランス高級ブランドグループ、ケリングのジャン=マルク・デュプレ最高財務責任者(CFO)は4月の決算発表で、中国国内での消費増加を受け、「店舗網を見直す必要がある。これにより、流通システムが抜本的に再構築される」と説明した。

 中国の巨大電子商取引(EC)企業と組んで国内消費取り込み拡大を狙う企業も増えている。プラダ、ミュウミュウ、バレンシアガなどの高級ブランド各社は今年、中国のIT大手アリババグループ傘下のECサイト「天猫(Tモール)」内に相次ぎ出店した。ルイ・ヴィトン、ジバンシーなどのブランドも中国での販売促進策の一環として、インフルエンサーが数時間にわたり商品紹介や試着を行うライブ配信を活用した「ライブコマース」の利用を始めた。

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