海外情勢

観光立国タイが海外の富裕層を狙う 再感染リスク覚悟で入国規制を解除

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で外国人の入国を規制していた観光立国タイが今月から、高額所得の外国人にターゲットを絞り、観光産業の再スタートを切った。再感染のリスクを覚悟しながら経済の正常化を急ぐことを決断した。

 経済的便益を考慮

 タイは外国人の入国をほぼ全面的に禁止していたが1日に規制解除に踏み切った。まず入国が認められたのは、多くが家族やビジネス・投資などで同国と直接的な関係のある外国人。

 政府は香港、シンガポール、韓国、日本のパスポート保有者と中国の一部地域の居住者について、タイに投資したり経済的便益をもたらしたりすることを証明できれば入国を許可することを決めた。これに加えタイ民間航空局(CAAT)が、出入国許可の条件を加え、タイと外国との「特別な合意事項」に則した人も入国を許可することになった。

 CAATのチュラ・スクマノップ局長によると、協定を結んだ各国間を隔離期間なしで移動できるようにする「トラベルバブル」(近隣の域内旅行)の一部を成す特別な合意事項では、基本的に短時間の個別の審査で入国が許可される。これにより同国を訪れ経済的恩恵をもたらす外国人は大幅に増加し、トラベルバブルの合意内容を満たす人たちが再スタート第1段階の入国者の最大部分を占めることになった。関係国国内の感染リスクによるが、タイとのトラベルバブルには早ければ8月にも新たな参加国が加わる見通しだ。

 同局長はインタビューで「高所得者層はパンデミックの直接の影響を受けていない。民間航空会社から、チャーター便を使いタイへの渡航を検討している顧客は多数存在するという情報を得ている」と述べた。

 他国との競争激化

 アユタヤ銀行のチーフエコノミスト、ソムプラウィン・マンプラサート氏は「超高額の観光市場をめぐり、観光に依存する他国との間で競争が激化しそうだ。国内に多数存在する小規模宿泊施設の支援にはならず、全ての減収を補うほどの効果はない」と指摘する。

 タイ中央銀行は今年同国を訪れる外国人を、2019年の約4分の1、当初予測の約2分の1をかろうじて超える約800万人と予想する。また、タイ経済が8.1%のマイナス成長となる中、観光庁は20年の観光収入の総額を前年比59%減の1兆2300億バーツ(約4兆1700億円)と予想している。

 タイは全域の夜間外出禁止令や国境封鎖、マスク着用の徹底で1カ月以上国内感染の報告がなかったため7月1日から国境封鎖とほぼ全ての経済活動の規制解除に踏み切った。チュラ局長は「感染リスクを冒してまで外国人を入国させないでほしいという声も上がっているが、経済のために避けられない」と述べた。(ブルームバーグ Natnicha Chuwiruch)

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