海外情勢

ハイテク各社が対印投資を加速 米と緊張する中国の代替でアジア中核へ (1/2ページ)

 海外のハイテク大手各社が相次いでインド向けの大型投資計画を発表している。米中間の緊張が一段と激化していることを背景に、中国に代わり、インドをサプライチェーン(部品供給網)の移管先や携帯電話などハイテク機器の販売先として、新たなアジアビジネスの核に位置付ける思惑が込められている。

 ペガトロン工場着手

 米アップル製品の受託生産を行っている台湾の和碩聯合科技(ペガトロン)は先週、インドでスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の組立工場の設立に着手したと発表した。

 モディ政権は2014年9月に打ち上げた産業政策「メーク・イン・インディア」の一環として今年6月、世界のスマホメーカーの投資誘致を狙いに、進出企業に助成金や製造施設などを提供する総額66億ドル(約7070億円)の奨励策を発表しており、ペガトロンのインド進出はこれに呼応した形だ。

 既にアップル受託最大手の台湾の鴻海精密工業(フォックスコン)と緯創資通(ウィストロン)のライバル2社もインド南部の製造拠点でアイフォーンの組み立てを行っており、ペガトロンも2社に続き、現地工場の設立を急ぐ。

 中国に数多くの組立工場を有するペガトロンは、鴻海に次ぐ世界2位のアイフォーンの組立事業者で、売り上げの半分以上をアップルからの受託事業に依存している。

 ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、マシュー・カンターマン氏は「鴻海とウィストロンがインドでの事業拡大に乗り出したことに対応し、アイフォーン受託製造のシェアを維持するのがペガトロンの狙いだ」と解説した。

 一方、米国勢では、過去数週間で、グーグル、フェイスブックなどがインドの通信最大手ジオ・プラットフォームズに200億ドルもの資金を投じる計画を相次いで発表。対印投資の動きが加速している。

 グーグルは今月、インド経済のデジタル化を支援するため今後5~7年間で100億ドルを投じる出資計画を発表。出資第1弾として7.7%のジオ株を取得する方針を示したほか、インド向けの低価格スマホの開発でジオに協力すると表明した。

 米アマゾン・コムはインドの中小業者のネット通販サイト参加に向けた10億ドルの投資を表明したほか、25年までに100億ドルのインド製商品を世界で販売すると述べた。同社のベゾス最高経営責任者(CEO)は1月にインドを訪問した際、「21世紀はインドの時代になる」と宣言した。

 輸出向け製造に軸足

 インドは豊富な熟練労働者、10億人規模の携帯端末市場を抱え、携帯利用者のうちスマホ利用者の割合は約半数にとどまるなど潜在的な市場成長力も高い。

 アップルや韓国のサムスン電子、中国の小米(シャオミ)などの企業が同市場に大きな期待をかけているのはこのためだ。

 対印投資案件急増の契機となったのは、モディ政権の投資奨励策だが、海外のハイテク各社が対印投資を急いでいる背景にあるのが、米中摩擦の激化だ。

 さらに新型コロナウイルス禍もあり、中国からの生産拠点の移管が進む中、ペガトロンのような受託大手にとってはインドを製品の輸出拠点とすることは魅力的な選択肢だ。

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