国内

対韓輸出管理、解決遠く WTOで審議へ、パネル設置決定

 日本が韓国に対して取った輸出管理厳格化は、世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)に舞台を移し、さらに争われる流れとなった。韓国の植物園が従軍慰安婦問題を象徴する少女像の前で謝罪する安倍晋三首相をモチーフにした像を設置したことも、新たな火種として浮上。両国とも引くに引けず、関係改善に向けた出口は一段と遠のいている。

 29日のWTO会合では、規制措置は政治的動機に基づき不当だと訴える韓国と、安全保障が目的だと反論する日本の溝が埋まらず、韓国の要求通りパネル設置が決まった。

 韓国の文在寅大統領は「日本の措置に動揺せず正面突破した」「生産に支障は一つもなかった」と強気の発言を続けている。むしろ、日本への依存度が高い素材の国産化、調達先の多角化を進める契機になり「災い転じて福となす」ことに成功したと語る。

 それでも日本側に措置撤回を求めるのは「体面」(外交筋)を重視しているためとの見方がある。貿易管理体制が不十分な国とのレッテルを払拭する必要があるというわけだ。

 日本が「国際外交の舞台でことあるごとに足を引っ張っている」との反発も強い。先進7カ国首脳会議(G7サミット)に韓国などを招待するとのトランプ米大統領の提案に反対し、WTO事務局長選に出馬した韓国出身の兪明希候補に「否定的」(聯合ニュース)な立場であることも、韓国を強硬路線に走らせる要因となっている。

 ◆結論見通し立たず

 問題は、パネルを設置したところで事態打開の展望が描けないことだ。

 WTOの紛争解決手続きは、1審に当たるパネルの結論が出るまで年単位を要する場合が多い。上訴した場合の上級委員会は、米国の反対で委員を補充できず機能不全に陥っており「最終結論が出るかどうかさえ見通しが立たない」(日本政府関係者)ありさまだ。

 係争中は審理への影響を避けるため「当局間の対話が難しくなる」(別の政府関係者)とされ、長期にわたり膠着(こうちゃく)状態に陥る懸念が拭えない。

 日韓関係悪化のきっかけとなったいわゆる徴用工訴訟では、韓国の裁判所による日本企業資産の差し押さえ手続きが8月4日に終了し、現金化が現実味を帯びる。日本側は「問題は解決済み」との立場を崩しておらず、茂木敏充外相は「あらゆる選択肢を視野に入れ対応を考える」と牽制(けんせい)し、報復措置の検討を急ぐ。

 韓国は8月を期限に日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)の破棄をちらつかせる。日本政府高官は「対韓輸出規制強化とは全くの別問題だ」と強調し、安全保障政策を交渉カードに使う韓国に不快感を隠さない。

 ◆謝罪像が新たな火種

 さらに「謝罪像」問題が日韓間の亀裂を深めている。菅義偉官房長官は28日の記者会見で「国際儀礼上許されない」と反発を強めた。インターネット上では韓国批判が拡散しており、日本の外務省関係者は「関係冷え込みはずっと前からだ。もう仕方がない」と投げやり気味に語った。(ソウル、東京 共同)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus