国内

日銀と民主党政権の不和鮮明に 10年前の姿を反面教師に効果を発揮できるか (2/2ページ)

 1月27日の会合で、白川総裁は「日銀がデフレを容認しているという誤解は払拭しないとならない」と明言。3月会合では「色々な問題が全てデフレという言葉でくくられており、問題の本質がみえにくくなっている」と持論を展開した。

 さらに2月18日の会合では、2日前の衆院予算委員会で菅直人財務相が物価上昇率を1%程度とすることを「政策的な目標にすべきだ」との発言に対し、白川総裁は強く反論。「中長期的な物価や経済、金融の見通しを的確に立てていくことが一番重要で、物価上昇率目標を採用するか、しないかのレベルの話ではない」と牽制(けんせい)している。

 結局、日銀と政府との不協和音はこの後も鳴り続け、24年末に再び民主党が下野するまで不況からの脱却はかなわなかった。

 あれから10年が経過し、現在は新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な景気低迷で、かつてないほどの厳しい経済危機に直面した。この危機に対し、政府は累次の補正予算を組み、積極的な財政出動による緊急経済対策を実施。その財源確保に向けた政府による国債の増発を見越し、日銀は今年4月の決定会合で国債の買い入れ上限枠を撤廃するなど、政府の政策に歩調を合わせた。

 5月には麻生太郎財務相と日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁が共同談話を公表し、感染拡大への対応に「一体となって取り組む」と明記した。10年前の姿を“反面教師”にした政府と日銀の協調路線が、政策効果を発揮できるか試されている。

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