データで読む

タイ、マレーシアが医療の国際展開牽引

 世界で新型コロナの感染拡大が続いている。日本でも6月後半からは再び感染者数の増加が加速する中、タイやマレーシアは同月の都市封鎖の一部緩和後も感染者数は微増で推移し、7月末現在の死亡率も1%台と低位である。背景にはさまざまな要因があると思われるが、一つには民間病院を中心とした積極的なテクノロジーの活用が挙げられる。

 タイやマレーシアは、アジアの中でも医療ツーリズムを国策として後押しするなど、自国にとどまらない医療の提供に力を入れている。ここ10年間(2008~18年)で両国の医療ツーリストの数は約3倍にまで増加しており、新型コロナ感染拡大により海外渡航が制限を受ける中においても、引き続き国を超えた医療の提供ができるよう取り組みが進められている。

 タイでは昨年、380人の医師が24時間体制で運営する仮想病院が開業し、利用者が急増している。利用者は、国内外を問わず、いつ・どこからでも遠隔診断サービスにアクセスでき、自宅での検査や薬の受け取りもできる。今後も中国やインドネシアへ、国境を越えたサービスを拡充していく予定である。また、タイでは海外在住の自国民向けに外務省と共同で遠隔医療サービスのアプリを提供し、遠隔診断後には必要に応じて自国での治療を促す取り組みも実施する。

 マレーシアでは、10カ国で77病院を運営するIHHヘルスケアが、アプリを活用して遠隔医療サービスを提供するベンチャー企業に出資した。同社は、利用者が自宅でも診察を受けられるサービスを全病院で提供することを目標に掲げ、5月末に国内だけでなくシンガポールでサービスを開始している。

 日本においても、4月より初診を含めたオンライン診療が時限的に解禁されたが、国内にとどまっている。新型コロナで加速する遠隔医療の取り組みは、医療の国際展開にも大きな変化をもたらすであろう。(編集協力=日本政策投資銀行)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus