海外情勢

世界巻き込む米のハイテク分断 線引き不明の対中規制拡大 (1/2ページ)

 米国はIT企業規制という中国式のやり方で、中国との争いを拡大しつつある。北京字節跳動科技(バイトダンス)に動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国での営業禁止をちらつかせて事業売却を迫る米政府の動きは、世界経済に予期せぬ多大な影響を及ぼしかねず、「テクノナショナリズム」の台頭を指摘する声もある。

 データ覇権を争う

 トランプ米大統領が期限に定めた9月15日までに、マイクロソフトもしくは別の米企業がティックトックの米事業買収で合意したとしても、それはインターネットの分断が1つの到着点に達したことを意味する。中国が多数の米IT企業を締め出し、フェイスブックやアマゾン・コムの代わりに騰訊(テンセント・ホールディングス)やアリババグループが幅を利かす独自のオンライン世界を構築したのが、分断の始まりだった。

 ネット社会のみならず、IT業界も分断されつつある。言論の自由や資本主義といった価値観に反するとの非難もあれば、地政学上のライバルとその軸であるIT産業を抑え込むためにはあらゆることをすべきだとの主張も展開される。

 シンクタンクのニュー・アメリカでサイバーセキュリティー政策と中国デジタル経済を担当するサム・サックス研究員は「米国にとって危険な先例になる。われわれはテクノナショナリズムへの道を歩んでいる」と話す。

 それがどのような影響を招くか世界はまだ見極めているところだが、米政府の動きはインターネットのデカップリング(切り離し)という発想がいかに急速に現実になっているかを如実に示している。

 インドはティックトックやテンセントの「微信(ウィーチャット)」など数十のモバイルアプリを禁止。オーストラリアと日本でも同じような中国アプリ規制という選択肢の検討が伝えられている。

 問題は、ネット上のやり取りや振る舞いまで含めたあらゆる個人情報を含むデータを誰が管理するかだ。インド同様、米国はこうした情報がティックトックから中国政府に筒抜けになるのではと疑念を抱いている。

 中国側にとっての懸念は、米国がどこで線引きするか明確でないことだ。中国伝媒大学マルクス主義学院の趙瑞●副院長(●=王へんに奇)は、「トランプ大統領の動きはインターネットを分断しかねず、世界で回避すべきだ。各国はネット統治という点について国家安全保障の限界をめぐる協議をすべきだ」と指摘する。

 トランプ氏の行動には再選を考慮した戦略と見なされる面もあるが、ティックトックへの攻勢には深い意味が込められているとの主張もある。

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